日本刀は美しい 松本市立博物館特別展

松本市立博物館企画展現在開催中の
「日本刀は美しい Japanese Swords are Beautiful」学芸員の方に解説して頂きながら鑑賞しました。
この企画展のチラシ、ポスターを見て
展示を見に来た人も少なからずいたのではないでしょうか。
入って直ぐ正面

この美しいレタリングは、博物館アソシエイトプロデューサーのおおうちさんが作られたそうです。
惚れ惚れする美しい文字です。
タイトルは、案内してくれた学芸員さんが考えたそうです。
当初は、違うタイトルだったそうですが、2年間の準備企画の中でこのタイトルにしようと確信したそうです。
タイトル通り、この扉の向こうの世界を体験すると、今まで人を斬る道具だと思っていた日本刀が
実は究極の美を秘めた美術品であることを知る事となりました。

公式サイトの解説文
この展覧会では鑑賞の助けとなる基礎的な知識をわかりやすく解説した上で、国宝、重要文化財を含む名刀の数々を御覧いただきます。日本刀は古来より大切にされてきた鉄の芸術品です。日本が世界に誇る究極の機能美を御堪能ください。
プロローグ
守神としての日本刀
古事記に書かれているスサノオノミコトがヤマタノオロチを退治した時に得た草薙の剣は王位継承の象徴である三種の神器の一つとなっていて、刀そのものが信仰の対象になることも少なくなく、奈良時代から現代にいたるまで数多くの日本刀が寺社に奉納されてきた歴史があります。

No.1 直刀 奈良時代
四柱神社所蔵
伊勢神宮で1300年続く20年に一度行われる『式年遷宮』で作られた神刀を、賜ったそうです。

日本刀を知る
導入は、日本刀に馴染みの薄い人でも日本刀の知識を学びながら展示を楽しめるコーナーです

◉長さを見て種類を知る
刀を縦に展示する方法は、珍しく長さの違いをもっとわかりやすく、違いを見てその訳も知りたくなる斬新な展示です。
学芸員の方の発案で刀匠の宮入さんがアクリル板オリジナル刀置きを設計してくれたそうです。

日本刀の特徴を学べるパネルが展示されています。これを読みながら日本刀の鑑賞の仕方を学んでいきます。
◉姿を見て時代を知る ◉鋒を見て時代を、帽子を見て刀工の力量を知る ◉地鉄を見て産地を知る
◉刀文を見て作者を知る ◉沸を見て匂いを知る
◉鋒を見て時代を、帽子を見て刀工の力量を知る ◉茎を見てその刀の情報を知る
弯刀の出現
平安時代中期の弯刀の出現以降直刀から「反り」とうい日本刀独自の「用と美」が追求されていくことになります。

太刀の様式の完成
№21銘 安綱 平安時代中期 刀として完全な形を備えています。

五箇伝の発展 外装美の追求
多くの人が熱心に展示をご覧になっていました。外国人の方も多くいらしたのが印象的でした。
また会場には、今回の展示で協力いただいた「日本美術刀剣保存協会 長野県南支部」の方もいらして
質問にも答えていただけるそうです。

新刀とは
一般に、関ヶ原の戦いの前後となる慶長(1596~1615年)以降の刀を「新刀」と呼び、それ以前の刀を「古刀」と呼びます。

№30 刀 銘 水心子正秀 江戸時代後期
裏銘にこの刀がいかには素晴らしいかという銘が入っています。

戦う刀の終騰
明治9年(1876)「廃刀令」が出され、武器として日本刀の需要は途絶えました。

刀に関する用語をイラストを交えて解説する展示がとても楽しいです。
来場の際はぜひゆっくりご覧ください。

ぬきさしならぬ・はく・はむかう

切羽詰まる
「切羽」とは「鐔(つば)」が動かないように鐔の両側に入れる薄い金属のことです。鐔のがたつきを調整するための大切な部品で、必要に応じて複数枚使うこともあります。

切羽・鐔

日本刀を作る

刀匠 宮入法廣(みやいりのりひろ)長野県坂城町出身
日本刀の第1人者のおひとりで数々の受賞歴をお持ちで、2011年(平成23年)に長野県無形文化財保持者に認定
現在東御市鍛錬場を設立され、今回の展示にもご尽力いただいた匠です。

講演会2「日本刀を作る~古作の再現~」
日 時 10月25日(土) 13時30分~15時
料 金 無料
講 師 刀匠 宮入法廣氏
会 場 松本市立博物館 講堂
定 員 70名
申 込 10月8日(水)9:00から10月22日(水)まで
こちらの申込フォームより受付 応募多数の場合は抽選
№60 脇差 銘 再現刀
薙刀直し刀(骨喰藤四郎吉光) (棟)法廣作之
再現文化財として完成度が極めて高い作品です。


会場では、宮入法廣氏の作刀の製作過程を動画で見ることができます。

日本刀を観る

この先は、照明を抑えて日本刀をより美しく鑑賞できるような設えとなっています。
国宝 太刀 銘 国行(号 明石国行 あかしくにゆき)
刀剣博物館所蔵

№66 国宝 短刀 銘 左 / 筑州住(号 じゅらく(太閤左文字)
ふくやま美術館所蔵(※拵は10月20日までの展示)

「日本刀を観る」展示会場

おわりに

学芸員の方から「刀好きな方もそうでない方でも楽しめる展示になっています、ぜひお越しください!」
今回案内して頂いた博物館学芸員の高木さんの展示に至るまでのお話と
更に詳しい展示の鑑賞のポイントなどが、公式サイトのコラムvol.117 日本刀は美しい?に書かれています。
ぜひご覧ください。
2つの国宝(※じゅらくは10月20日までの展示)をはじめとした滅多に鑑賞することができない名刀が並ぶ
素晴らしい展示です。すでに何度も来場されている方が何人もいらしゃいます。
何度でも観たくなる素晴らしい企画展でした。ぜひ足をお運びください。
1階のミュージアムショップなどの記事は次回に続きます・・・
★お知らせです★
10月15日(水)夜の博物館 ガイドツアー開催です。
夜の静かな時間に常設展の見どころをご案内するガイドツアーを開催します。
お気軽にご参加ください。
時間:各日18:00~
所要時間:約1時間
集合場所:1階入口導入展示ロビー付近
※事前予約は不要です
※常設展を観覧できるチケットをお買い求めの上、時間までに集合場所にお集まりくださ
い
※ミュージアムショップ、カフェは通常通り21:00までの営業
※夜間開館中は、2階特別展示室で開催中の特別展 「日本刀は美しい Japanese Swordsare Beautiful」」(会期10/2~11/16)もご観覧いただけます。
この機会にぜひ松本市立博物館にお越しいただき、夜の博物館をお楽しみください。
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会期 2025.10.2 (木) 〜 2025.11.16 (日)
閉 室 日 毎週火曜日(祝日の場合は翌平日)
営業時間 09:00 – 17:00 入館は16時30分まで
出展刀名の1部(松本市立博物館公式ホームページより)
国宝
太刀 銘 国行(号 明石国行 あかしくにゆき)刀剣博物館所蔵
短刀 銘 左 / 筑州住(号 じゅらく(太閤左文字)ふくやま美術館所蔵(※拵は10月20日までの展示)
重要文化財
大太刀 銘 備中国住人□□延文六年二月日(青江の大太刀) 真田宝物館所蔵
太刀 銘 正恒 (附)小笠原秀政譲状 刀剣博物館所蔵
太刀 銘 備州長船兼光 / 延文三年二月日 ふくやま美術館所蔵
重要美術品
太刀 銘 長谷部国信(号 からかしわ) 個人蔵
太刀 銘 来国俊 / 元享元年十二月日
太刀 銘 国俊 個人蔵
刀 無銘 正宗(名物 武蔵正宗) 刀剣博物館所蔵
短刀 銘 備州長船景光 / 正和三年卯月日 個人蔵
短刀 銘 備州長船住兼光 / 正慶元年十一月日 個人蔵
長野県宝
大太刀 銘 (前略)信濃國小諸住山浦壽昌作之 上田市立博物館所蔵
太刀 銘 為窪田清音君 山浦環源清麿製 / 弘化丙午年八月日 個人蔵(重要美術品)
刀 銘 枩代藩吉原一菴直行佩刀 / 明治元年十月日兼虎 個人蔵
再現刀
薙刀直し刀(骨喰藤四郎吉光) 銘(棟)法廣作之 彫琇巴 豊国神社所蔵(※11月3日まで展示)
現代刀
太刀 銘 以銑卸 法廣(花押)令和六年弥生 個人蔵(※11月5日から展示)
その他、松本藩戸田家伝来の刀・拵大小など、名刀・刀装具80点以上。