北八ヶ岳 夏沢鉱泉〜箕冠山〜根石岳(やまたみ実習登山)《冬期》

レベル:
山行日: 2008.01.27
60
標高:2590m
北八ヶ岳  夏沢鉱泉〜箕冠山〜根石岳(やまたみ実習登山)《冬期》

第10回目の実習登山は八ヶ岳夏沢峠登山です。講師2人を含めて計13人参加。
八ヶ岳は、長野県の諏訪地域と佐久地域、山梨県にまたがる山塊の総称。夏沢鉱泉と本沢温泉を結ぶ夏沢峠を境界として、北八ヶ岳と南八ヶ岳に大きく分けられる。今回登った山は夏沢峠から北側なので北八ヶ岳の範囲。百名山の八ヶ岳は南八ヶ岳を指す。
箕冠山(みかぶりやま)は標高2590m。
根石岳(ねいしだけ)は標高2603m。
地図 八ヶ岳 夏沢鉱泉〜箕冠山〜根石岳

松本からのアクセス方法(冬期の場合)

:高速長野道松本インターから乗り、岡谷ジャンクションで中央自動車道東京方面に進み、諏訪インターで下ります。茅野市内に入ったら「縄文尖石考古館」(又は「縄文の湯」)の案内板に従うと、その先の「三井の森」(別荘地)に着きます。別荘地の上の唐沢鉱泉と桜平の分岐で駐車できます。夏沢鉱泉に宿泊の方はここから雪上車の送迎があります。
公共交通機関:電車では、JR松本駅から中央本線でJR茅野駅まで行きます。夏沢鉱泉に宿泊の方は送迎があるので、利用することをお薦めします。
夏沢鉱泉の宿泊は予約が必要です。予約先:有限会社 硫黄岳山荘 事務所 TEL・FAX 0266-73-6673

1日目

楽しい雪上車雪上車初体験!雪上車はたのしい!ガッタンガッタンと川を渡るたびに大喜びです。冬山体験を目前にして徐々にテンションをあげてもらったもらったような感じでした。

夏沢鉱泉〜オーレン小屋 80分

スノーシューを履く夏沢鉱泉12時5分出発。スノーシュー初体験の人も多く慣れない手つきで履いていました。ここで私は失敗をしてしまいました。素手でスノーシューを履いていたため後になってひどく指先が冷えてしまい、冷えが痛みになり気が遠くなりそうでした。途中で手袋を外して指先を掌にあてて温めたら良くなりました。スノーシューを履く時にも、カメラを構える時にも手袋をしたままできるように訓練しておくと良いでしょう。
ひたすら坂を登って行くので体はぽかぽかで少し汗ばむほどです。スキーウェアーを着ていた方はかなり熱い様子でした。上り坂はそれほどきつくありません。スノーシューに慣れるのにはちょうどいいくらいです。

オーレン小屋〜赤岩ノ頭方面(途中まで) 60分

橋を渡るオーレン小屋のすぐ南の橋を渡って赤岩ノ頭方面に進みました。この道は窪んでいるので登山道があることはわかりましたが、雪は踏み固められていないため先頭の人はラッセルしなければなりませんでした。13人もいると順々に先頭の人がラッセル後に一番後ろにつくようにして体力をなるべく消耗しないようにすることができます。そうは言っても3番手から後ろは楽なのですが、先頭の後ろについている2番手は大変でした。先頭は自分の体力に合わせて次の人に交代できるのですが、2番手は先頭の人が音をあげるまでついていかなければなりません。しかも、雪はあまり踏み固められていないため、先頭と同じくらい疲れます。2番手が一番大変だと感じました。
疲れも飛ぶ眺め上に行くにつれて傾斜がきつくなりました。気持ちは前に進んでいるのに、足は雪を崩して滑り、なかなか前に進みません。後退しているように感じるくらいでした。これ以上は進めないと思ったところで止まってくれてほっとしました。そこは遠くまで見えるほどの高さでした。翌日登る箕冠山と同じくらいの標高だったかもしれません。美ヶ原の広い台地が見えて感激しました。素晴らしい眺めに疲れが飛んでいきます。

赤岩ノ頭方面(途中)〜オーレン小屋〜夏沢鉱泉 80分

オーレン小屋近くの樹氷下りは楽々です。急な傾斜では転びながらでしたが、あっという間に下って来られました。無雪期との大きな違いは、よそ見をしながら下れることです。木の根や石などは雪の下なので、つまづく心配がありません。それでも、時々小さな溝(小川?)があるので注意は必要です。周りの雪景色をたっぷりと楽しみました。夏沢鉱泉16時10分到着。

夏沢鉱泉

夕食のぼたん鍋夏沢鉱泉はサービス満点です。まず、食事が豪華!夕食には鍋料理も出ました。しかも、シシ肉です。なんてぜいたくなんでしょう。歯ブラシ・タオルセットまでもらえます。それだけではありません、就寝前には全員に湯たんぽサービス!おかげで足元ポカポカで眠れました。さらにさらに、温泉があります!夜9時まで入れます。希望があれば朝5時からも入浴できます。参加者の男性はこの2日間に4回も温泉に浸かったようです。

2日目

朝焼け 6:55朝食は6時でした。週末で宿泊客が多かったため交替で食事を摂りました。朝のメニューもボリュームがありました。
日の出は直接見ることはできませんが、西の北アルプスに映る朝焼けがとてもきれいでした。気温は氷点下18℃でしたが、あまりにも美しくて寒さも忘れるほどでした。

夏沢鉱泉〜オーレン小屋〜箕冠山 150分(休憩含む)

夏沢鉱泉午前7時35分出発。気温は氷点下18℃。オーレン小屋までは前日歩いたので、歩く要領もわかり早くたどり着きました。(所要時間65分)気温が低いため、吐く息が髪の毛に白く凍りつくほどでした。デジカメで撮ってもらって見ると、そこには山姥と化した自分が写っていました。自分ではわからなかったのですが、髪の毛に華が咲いていたそうです。人工の霧氷といったところでしょうか。
眺めにうっとりオーレン小屋から箕冠山に行く途中で、私のリュックについている温度計を見てもらうと氷点下20℃。・・・というよりも、一番下が氷点下20℃でそれ以下が計れないため、他の人の温度計を見てもらうと氷点下22℃でした。今まで体験したことのない寒さだというのに以外に平気でした。顔や手は冷たかったのですが、上り坂を歩いているため体は熱いくらいでした。登るにつれて木の高さが低くなると陽を浴びるようになります。太陽の暖かさが心地良い上に眺めも良くなりうっとりしてしまいました。

箕冠山〜根石岳 25分

来てよかった〜怖々下る
箕冠山の標識のある所は頂上という感じではなく、見晴らしも良くありませんでした。少しがっかりしました。しかし、根石岳方向にちょっと進むと素晴らしい眺めが待っていました。歓声をあげて大喜びです。そこからさらに根石岳方面に下ります。この下り坂は、周りに木が無く、転んだら止まることが無いように思え、怖々と用心深く下りましたが、転んでも大したことはなく大丈夫でした。雪は固く締まっていましたが、スノーシューの刃はがっちりと入っていました。
みんなで記念撮影箕冠山と根石岳の中間で記念撮影!この辺りは雪があまり積もっていません。いつもは風が強く雪が吹き飛ばされてしまうようです。木の杭などについているえびのしっぽ(過冷却の水分が突出物に当たり凍結し、風上に向かって伸びた氷の塊がえびの尻尾のような形になる)が物語っていました。この日はほとんど風がなく、珍しい日だと講師の方々が言っていました。
根石岳で記念撮影今日の目的は箕冠山でしたが、希望者7人は根石岳の頂上を目指しました。登り始めは大した坂ではないのに足が重く感じ、頂上まで行く体力があるか不安でしたが、気がつくとあっという間に頂上に着いていました。さすがに頂上、絶景です。浅間山、北アルプス、諏訪湖、御嶽山、八ヶ岳が見える大パノラマでした。午前10時35分、気温は氷点下8℃。太陽の熱のありがたさを感じます。風もなく気持ちがいいのでティータイムを楽しみました。
西天狗岳の白と青標識にえびのしっぽ

根石岳〜箕冠山〜夏沢峠 50分

正面は硫黄岳根石岳の下から箕冠山までは登り坂でしたが、あとはずっと下り坂です。途中で赤岳から硫黄岳を経由してやって来た一行とすれ違いました。平均年齢はかなり高そうでした。
講師の高橋さんは夏沢鉱泉で小屋番をしていたこともあり、この辺を熟知しているためビューポイントを教えてくれました。眺めの素晴らしさを写真に収められないほどでした。下りの坂道の正面には硫黄岳が陽に照らされてピカピカ光っていました。

夏沢峠〜オーレン小屋〜夏沢鉱泉 70分(休憩含む)

急な斜面を降りる夏沢峠からオーレン小屋まで(所要時間30分)は道を少し外れて雪にまみれて下り、雪の感触を楽しみました。オーレン小屋から夏沢峠までの間に道ではない急な斜面があり、子供のような大人たちは転げて滑り落ちました。雪の上なので転んでも痛くもなく、とても愉快な気分でした。次々に雪と一緒に滑るので、仕舞いには雪がなくなり下の草が見えていました。

再び夏沢鉱泉

昼食はみんなそろってカレーライス13時5分夏沢鉱泉到着。気温氷点下14℃。昼食はみんなでカレーライスを食べました。帰るまでに時間があったので温泉に入る人もいました。なんてぜいたくな冬山登山なんでしょう。

記者の感想

2日間とも良い天気で雪の白さと青空が本当に美しく大満足の冬山体験でした。楽しかったのは登山だけではなく、1日目の宴会(?)もとても楽しかったです。私は2回目のやまたみ実習登山で、皆さんと宿泊するのは初めてでした。他にも初参加の方がいて自己紹介をしながら山の魅力などについて語り合いました。山を通じて仲間が増える。そんなところもやまたみ登山学校の良いところなのではないでしょうか。
【2008年1月26・27日 登山者・記事 アルプスちえみ】