厳冬期 蝶ヶ岳。

所要時間:13時間30分  レベル:
山行日: 2022.01.30
7
標高:2677m
厳冬期 蝶ヶ岳。

今回は、厳冬期の1月に「蝶ヶ岳」へ登ってみました。

「蝶ヶ岳」は、松本市内から見える、常念岳の左側に見えるなだらかな丸い山頂の山です。標高は2677m。春の雪融けのシーズンに、蝶の雪型が見られることから「蝶ヶ岳」となったようです。夏山登山だと、烏川林道の終点である「三股」の登山口からスタートできるのですが、厳冬期は林道が雪に埋もれてしまうので、「ほりで~湯・四季の里」でゲートが閉まっているので、そこからスタートして烏川林道も全て歩かなければならないので、近くに見えて遠い山になるのです・・・。

アクセス

松本市内からのアクセスは、夏山の蝶ヶ岳の記事をコチラからご覧下さい→「アクセス

 

ほりで~湯前ゲート~三股。(2時間程)

厳冬期は林道歩きが長くなることから、僕たちは3:30にゲート前に集合して登山(BCスキー)の用意をして、3:50にスタートして行きました・・・。スキーにシールを付けてガシガシと林道を歩いて進んでいきましたが、この真っ暗闇の烏川林道の長いコト!!・・・。延々と続く真っ暗闇な林道を歩いていると、行けども行けども辿り着かず、「いつまで続くんだ?!」とメンタルをやられてしまい、初っ端から泣きが入りそうになっていました・・・。

 
 
それでも、地獄へ続く道のような真っ暗闇な烏川林道を何とかこなし、2時間もかかってようやく「三股」に辿り着く事が出来たのでした・・・。この時点で、やっと夜が明けてきて辺りが明るくなってきました。 林道が終わり、三股の先にあるこの吊り橋を渡って、いよいよ本格的な登山となっていくのです。

 

 

三股~まめうち平。(3時間程・・・)

今年は雪がよく降り積もった年で、蝶ヶ岳も雪が多かったので登る時のラッセルがタイヘンでした。それでも雪に埋もれながら進んでいくと、蝶ヶ岳名物であるゴジラの形をした木「ごじさん」が見つかりました。「ごじさん」も雪に埋もれていて、冬眠中でした。

 

 

その後は、夏道の登山道である場所を離れて、スキーシールで登りやすい拓けた場所を選んでジグザグに登っていきました。この辺りから急に雪は深くなり、雪質がサラサラなのでシールが利かず、1歩ごとにバランスをとらなければならない、まるで泥沼の中のような非常にしんどいシール登攀になっていたのです。ここでもラッセルがタイヘンだったのでした・・・。おまけに、この日は天気予報は「晴れ/曇り」だったのですが、スタート時から真っ白な雲の中で雪がチラチラ降っていたのです・・・。真っ白なホワイトアウトな中を延々と登って行くのも、気持ちがとても重かったです。

 
 

それでも何とか、8:40頃に「まめうち平」に到着できました~。ここでやっと大休止をして、これから先の作戦会議をしました・・・。

真っ白なホワイトアウトですが、この時点では風は強くありませんでした。なので、とりあえず稜線まで登ってみて、風が強かったら→登ってきたラインで滑って帰る。風が無かったら白くても山頂を踏んで→目的の蝶沢をスキー滑降して帰る。という事にして、再び「まめうち平」から先へと登って進んでいきました・・・。

 

 

まめうち平~蝶ヶ岳山頂。(3時間程)

その先も、かなり急斜面の深くディープな泥沼的ラッセルは続きました・・・。もうココでシールを剥がして滑り込んだら、とても気持ち良いターンで滑れて帰れるのは分かっているし、もうすでにヘトヘトでした。でも、それでも僕たちは上へ登攀を続けていったのでした。
 

 

「まめうち平」を越えて標高2300mぐらいに達した頃、辺りは依然として真っ白なのだが、頭の上の空が少しずつ明るくなってきました!・・・。時々斜めに陽が差し込んでくるようにもなってきました。 そしてとうとう!僕達の頭の上に青空も見え始めてきました!!
 
僕達は一気にテンションMAXに!! この青空が見えただけで、僕達のフトモモには一気にブーストがかかって、ラッセルする足取りが一気に早くなっていったのでした!

 

 

そして、ついに!!、その時は訪れたのです!!・・・。標高2400mぐらいまで上がると僕達は雲の上に出て、その上には青空が広がっていて、目の前に常念岳の雄大な姿がドォォーンと見えたのでした!!

 

 

そして、ついに!、僕達の目的である蝶ヶ岳の山頂も見えてきたのでした!!

この日は雲海が低くて、松本平~標高2300mぐらいまでが雲の中で、それより上は晴れていたのです! この幻想的な景色に、僕たちは諦めなくて良かった~と思いました。

 

 

そして、ついに稜線に到着出来ました!! ここにきてやっとターゲットである蝶ヶ岳の山頂も見えました。ここまで来れば、もう山頂は完全にロックオンです!

 

 

稜線でのラストスパートは、最後の蝶ヶ岳山頂への稜線をまるで凱旋したかのような誇らしげな気分で登って行きました。 バックには大滝山がまるで祝福してくれているように聳えて見えました・・・。

 

 

そして!、ジャスト12:00に、蝶ヶ岳の山頂に辿り着く事が出来たのでした!! 蝶ヶ岳山頂と言えば槍~穂高連峰の大パノラマが素晴しいのですが、依然雲の多い空だったので槍~穂高連峰の大パノラマが見えるかどうか不安だったのです、でもこの絶景も、全て見えたのでした!!
 
雪の降るホワイトアウトの中、深くキツいラッセルを8時間ちょっとこなして上り続けてきて、稜線で雲海の上に出てまさかの晴れで、最高過ぎるこの槍~穂高連峰の大パノラマビュー!!・・・。本当に感無量なのでした!!

 

 

蝶ヶ岳山頂からの冬の景色。(槍~穂高連峰)

蝶ヶ岳の山頂で、メンバー4人みんなで記念写真です。

雪の降るホワイトアウトの中、深くキツいラッセルを8時間ちょっとこなして上り続けてきて、稜線で雲海の上に出てまさかの晴れで、最高過ぎるこの槍~穂高連峰の大パノラマビュー!!・・・。本当に感無量なのでした!!

 

 

「穂高連峰」。右に突き出している左手の上の峰が「前穂高岳」。そこから右へ「奥穂高岳」、「涸沢岳」、「北穂高岳」、その下の白い部分が「涸沢」、一番右の峰が「南岳」です。

 

 

「槍ヶ岳」。槍ヶ岳はどこから見ても尖っていて、間違えようがありません。素晴しい景色でした!!

 

 

蝶沢スキー滑降~三股~ほりで~湯・四季の里。(4時間程)

僕達はスキーで登ってきたので、蝶沢をスキーで滑って帰りました・・・。スノーシューやアイゼンにワカンの登山者は、登ってきた道を下って帰ります。

蝶沢のボトムでは、川が雪で埋まっておらず、そこからの脱出が藪漕ぎになって非常に苦労しました・・・。なので、三股へ帰りつくのに結構時間がかかってしまいました・・・。

 

 

三股からは、真っ暗な中登ってきた烏川林道をスキーで一気に下って帰って行きました。下りでのスキーはしんどくなくて爽快なので、最高ですね~。

 

感想

厳冬期の蝶ヶ岳は、烏川林道が延々と長いので林道歩きが疲れます。そして厳冬期は雪の上を歩くので、その日の雪質によってシンドさと時間が大分変わります。僕達が行った時はサラサラの雪で深くて、ラッセルが苦労しました。それでも登りは大体思惑通り行くことが出来ました。下りのスキーでは、トラバースルートが難しくて、スキーを外すと腰まで埋まる雪なので脱出に苦労しました・・・。それでも、厳冬期のあの蝶ヶ岳山頂からの槍~穂高の大パノラマビューを見るだけの価値はあると思いました。

 

【2022年1月30日。登山者、記者:ハタゴニアン】