冬期、双六岳。
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「双六岳」は、長野県と岐阜県の県境にまたがる北アルプス裏銀座の稜線上にある、黒部源流の山のひとつです。標高は2860m。この双六岳へ、冬期の3月にスキーを使ってワンデイで行って来て見ましたので、裏銀座の山々の厳冬期の景色も含めてご紹介したいと思います。
<アクセス>
双六岳への登山口は、新穂高温泉になります。 松本市から新穂高温泉までのアクセスについては、「西穂高岳」のページをご覧下さい。
<新穂高温泉→わさび平小屋。(1時間。)>
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新穂高温泉の登山口で冬期の駐車場に車を止めて、そこから左側の橋を渡って左俣林道のゲートからスタートして行きます。今回の僕達はスキーの機動力を生かしてのワンデイ登山で行ったので、まだ真っ暗闇な深夜2:00にスタートしていきました・・・。
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一面雪の雪原に当たるヘッドライトの僅かな白い光を頼りに、雪に覆われた左俣林道を延々と歩いていきます。そして約1時間ほど歩いていくと、突然僕達の前に重そうな雪を載せた「わらび平小屋」が見えて来ました。
<わらび平小屋→大ノマ乗越。(4時間程。)>
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わらび平小屋からも左俣林道を延々と歩いていくのですが、所々で左側の抜戸岳からの巨大な雪崩跡のデブリで林道埋まっていて堰き止められていました。その雪崩のデブリを何箇所も越えていくのが、スキーを外したり巨大な雪の壁を攀じ登ったり四苦八苦して、とてもタイヘンでした・・・。なかなか思うように行かず、時間だけが浪費されていきました。
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この日は満月に近かったために、抜戸岳の上に月がでてくると、まるで海の底にいるかのような真っ青な静寂に包まれた世界になっていき、とても美しかったです!
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何度も雪崩跡の巨大なデブリを越えていき、小池新道のある秩父小沢へと入っていくことができました。ここまで来ると、沢には雪崩跡のデブリも無くなって、やっとスキーで歩きやすくなりました。少しずつ夜が明けてきて明るくなってきて、周りの景色も見えるようになって来ました。
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バックを見ると、それまでは見えなかった北アルプス~乗鞍岳も見えて来ました。左側の稜線が奥穂高岳~西穂高岳、右奥の山が乗鞍岳です。この辺りから、少しずつオレンジ色の朝焼けの色合いに染まってきていました。
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そして、大ノマ乗越に上り切る少し手前でご来光が上って来て、やっと僕達の世界に太陽の光が当たってきたのでした。僕達の上に見えているコルが「大ノマ乗越」ですね。
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そして、左俣林道のゲートをスタートしてから約5時間弱で、大ノマ乗越に到着することが出来ました。ここで僕達はやっと大休止をして、水分やカロリー補給をしたのでした。
<大ノマ乗越→双六岳山頂。(3時間程。)>
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そして双六谷のボトムから約1時間ほどで双六山荘に到着しました! 大休止を入れて、スタートしてから約7時間ほどもかかって、やっとここまで来れたのでした。 双六山荘は、半分ぐらい雪に埋まっていました。 そして双六山荘から北側には、黒部源流の山々が見渡せました。 バックに見えるのは、槍ヶ岳西鎌尾根につながる「樅沢岳」です。とても尖って聳えていました!
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<双六岳山頂からの景色。>
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<双六岳山頂→新穂高登山口。(スキーで滑って帰ったので、帰りは3時間程。)>
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双六岳山頂から、僕達は南側の斜面を槍ヶ岳~穂高連峰の大パノラマの景色をバックに双六谷へと滑っていきました。一旦双六谷へと下りて、そこから大ノマ乗越までは約40分の登り返し。そしてもう一回スキーからシールを剥がして秩父小沢へと滑り込み、左俣林道を出来るだけ滑って帰っていきました。
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行きの時は真っ暗だったので、雪崩跡のデブリがどんな感じになっているのか分かりませんでしたが、帰りは雪崩のデブリの全容を見ることが出来ました。抜戸奥沢からの雪崩デブリ跡は、たぶん東京ドーム数個分はあろうかというぐらいの大きさでした! 行きの時もそうですが、帰りでもココをスキーで越えていくのが本当にタイヘンでした。
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<感想>
以前から行ってみたいと思っていた黒部源流側の山「双六岳」に冬期にスキーを使ってワンデイで行けてよかったです。双六岳も、新穂高温泉から左俣林道を通っていくこのコースは、ワンデイで行くには遠い山です。僕達も全工程12時間程かかりました。でもこんな幹事の天気の良い日には、山頂から槍ヶ岳~穂高連峰の裏側が大パノラマで全部見えて、黒部源流側の鷲羽山~三俣蓮華岳~水晶岳なども全て見渡すことが出来て、最高の景色が堪能できます。でも、左俣林道も雪崩の巨大なデブリが5~6ヵ所も出ている場所もあり、厳冬期の山スキーではコンディションの見極めが非常に難しいと思いました。
【※注意!!】
このルートをワンデイで行くには、厳冬期のアルパインクライミングの出来る技術と経験と体力、そしてスキー滑走の技術が必要です。今回僕達は厳冬期に山スキーで日帰りで行きましたが、通常だと1泊2日ぐらいだと思います。1泊の場合はさらにテントなどの宿泊用ギアと大量の水と携帯トイレが必要になり、バックパックが重くなるので行動も遅くなります・・・。 もしこのルートに行ってみたいと思われる方は、必ず厳冬期のクライミングが出来る登山ガイドさんや、山スキーが出来るガイドさんと一緒に行って下さい。くれぐれも遭難しないように、よろしくお願いします。
【2023年3月8日。登山者、記者:ハタゴニアン】