唐松岳 八方尾根コース

レベル:
山行日: 2012.07.24
124
標高:2,696m
唐松岳 八方尾根コース

唐松岳(からまつだけ)は、長野県北安曇郡白馬村と富山県黒部市にまたがる標高2696mの山。
唐松岳へのルートは、一番楽な八方尾根(はっぽうおね)から登るコース、小遠見山(ことおみやま)と大遠見山(おおとおみやま)を経由するコース、五竜岳(ごりゅうだけ)を経由するコース、餓鬼山(がきさん)を経由するコース、白馬鑓ヶ岳(はくばやりがたけ)を経由するコースがあります。八方尾根から登り、唐松岳に登った後、各山に縦走する登山者も多くいます。唐松岳は交差点のような山です。
今回紹介する八方尾根コースは、ゴンドラとリフトを乗り継いで標高1830mの八方池山荘から歩き始めます。
八方尾根は特殊な植物の生息地です。
八方尾根で発見され「ハッポウ~」と名付けられた植物があります。ハッポウアザミ、ハッポウタカネセンブリ、ハッポウウスユキソウ、ハッポウワレモコウ。
植物の分布も特殊です。標高が低い所ではもっと高所で生育する植物が見られたり、標高が低い所では草原だったのが標高2130m付近になってダケカンバの林が見られます。
この特殊性は、地質と関係があるようです。

アクセス

ならば、松本方面から行くと白馬村の信号機「佐野坂」で右折して道なりに3.5キロほど進みます。信号機「土合橋南」を左折して5.5キロほど進み、信号機「八方尾根入口」で左折、第3駐車場の案内板が出てきます。駐車場は右側にあります。第3駐車場は無料ですが、ゴンドラ乗り場まで10分ちょっと歩きます。ゴンドラ乗り場の近くには、有料の駐車場があります。松本からは1時間30分くらいかかります。
公共交通ならば、JR大糸線「白馬駅」で下車。(松本駅からの所要時間は1時間40分。特急だと1時間。)駅からはバス「八方・猿倉行き」に5分ほど乗り、バス停「八方」で下車。

ゴンドラ・リフトに乗る

ゴンドラリフトアダム 八方駅(標高770m)~兎平駅(標高1400m) 8分乗車

アルペンクワッドリフト 7分乗車

グラートクワッドリフト 5分乗車
片道の所要時間は約40分
全区間通しの乗車料金は、片道1,400円、往復2,600円。
手荷物15キログラム以上は「手回り品料金」が加算されます。リュックの総重量にお気をつけください。(料金所に量りがありました。日帰り程度でしたら必要ないと思いますが、縦走などの場合は念のため量ってみてください。)
ゴンドラとリフトからの眺めも楽しいです。牛がいたり。花が足元で咲き乱れていたり。

八方池山荘~八方池 1時間

リフトから降りるとすぐに八方池山荘が見えます。
八方池山荘から階段を上ってすぐに、写真の標識があります。“登山をするんだ!”と思っている方には、右側の登山道がおすすめです。

すると、すぐに白馬岳方面の素晴らしい眺めが目の前に広がります。この日はガスが巻いていて良く見えなかったのですが、それでも「わ~」と声をあげるほどでした。晴れていたら「わ~」では済まなさそうです。「北アルプス展望案内板」山名も書かれているので見比べてみるといいですね。

木道コースと合流する場所には、「急登りにつき迂回願います」と書かれている看板がありました。左に行けば木道コースですが、どのくらいの急坂なのか様子を見てみようと思い右側に行きました。登山をしている方ならば登れる坂です。八方池までは、“その格好でよく登ってきたものだ”と思うような、サンダル履きの人やヒールの高い靴を履いてくる人などがいます。そういう人たちがうっかり入って来ないように看板があったのだと思います。しかし、この坂の杭には手を掛けないほうがいいです。地面に打ち込まれていないものがあり、手を掛けるとグラグラと揺れます。


八方ケルンを通過してしばらくすると山の案内板「白馬連峰展望図」があります。その時は雲がかかってしまいはっきりと見えませんでしたが、山並の迫力は感じられました。

階段状になった道を下り、残雪の上を歩くと八方池に出ます。階段状の道を下らずに上から廻りこんで八方池に行くこともできます。

八方池~扇ノ雪渓 50分

八方池は標高2060m。
八方池は白馬三山(白馬鑓ヶ岳 標高2903.1m、杓子岳 2812m、白馬岳 2932.2m)が水面に映る様子が有名なビュースポットです。
池にはクロサンショウウオが生息しているようですが、この時は全く見えませんでした。20年位前に見たときには、サンショウウオというものを知らなかったので“茶色のウーパールーパー”がいると驚いたものです。



八方池から10分ちょっと登るとダケカンバの林になります。入口には細い幹のものがありますが、奥に進むと太い幹のものが現れます。ここは何回来てもいつも心地良い場所です。

扇ノ雪渓~丸山ケルン 20分


扇ノ雪渓も気持ちがいいですよ。登山道を反れて雪渓で休憩するといいです。雪の上は少し涼しく感じられます。この時、中学生の学校登山の一行がちょうど下ってきたところでした。一般登山者に気を遣いながら下ってはいるのですが、すれ違いが大変そうでした。唐松岳は学校登山の場所なんですね。

扇ノ雪渓から10分ちょっと登ると雪渓があり、雪の上を歩きました。登りの時にはやや広めの歩幅(男性の歩幅?)でステップがついていましたが、帰りの時にはステップが崩れていて歩きにくかったです。
7月下旬はまだ残雪があるので、行く前から気になっていました。唐松岳頂上山荘のホームページには登山道の残雪の様子が小まめに、イメージしやすく書かれていました。行く前に見ておくと安心です。


丸山ケルン~唐松岳頂上山荘 50分

道中ずっとそうだったのですが、登山道の脇には山野草がたくさん咲いていました。丸山ケルンから上は、それまでに見なかった高山植物の花が多く見られるようになってきます。

八方尾根の道は比較的歩きやすいのですが、それぞれ1ヶ所だけ写真のような所もあります。良く整備されているので安心して通れました。


唐松岳頂上山荘が見え始め、気持ちがはやります。しかし、たくさん花が咲いていてそちらに目を奪われ、なかなか前に進めません。


唐松岳頂上山荘~山頂 往復 35分

登り20分、下り15分。
山荘の回りにリュックを置いていく人もいますが、山頂への傾斜はきつくなく、山頂でゆっくりしたかったのでリュックを背負ったまま行きました。

途中コマクサが咲いていました。

山頂から周囲を見渡すと、山に雲がかかってしまい展望はよくありませんでした。晴れていたら素晴らしい眺めでしょう。山頂からの眺めは天候が重要ですね。

唐松岳頂上山荘~八方池 2時間

12時25分山荘出発。
登りでは花の写真を撮らないように我慢していました。(それでも何枚か撮ってしまいましたが。) 登りで写真を撮らないようにしていた理由は、歩くのが遅くなるからです。
上記に所要時間を「2時間」と書きましたが、これは標準的なタイムです。
この日の私のタイムは、唐松岳頂上山荘~丸山ケルン 45分、丸山ケルン~扇ノ雪渓 25分、扇ノ雪渓~八方池 55分で、合計2時間40分もかかっていました。
下りは“思う存分花の写真を撮りますよ~!”と、花の写真撮影に精を出しました。

八方池~八方池山荘 1時間

「1時間」は標準的なタイムで、私のタイムは、八方池~八方山ケルン 30分、八方山ケルン~八方池山荘 40分で、合計1時間10分でした。花に気を取られゆっくり歩きすぎたので、リフト・ゴンドラの最終時間に間に合わせるため最後は早歩きでした。


下りはずっと木道コースを歩きました。登山コースにはなかった湿原の花も見られました。

リフトに乗る頃には、接写することが多い花の撮影のせいでクタクタになっていました。

おすすめの温泉

白馬八方には日帰りの温泉施設がたくさんあります。
駐車場に着いたのが遅くなってしまったので、近くの「第二郷の湯」に行きました。
六角形の屋根で、湯船も六角形です。温度は熱めでした。
第二郷の湯
営業時間:12:00~21:00
休館日:火曜日 (7月下旬〜8月中旬、12月下旬〜3月末は無休)
入館料:大人500円 小学生250円
住所:北安曇郡白馬村北城5170 地図
TEL:0261-72-6541

温泉の後、少し散策してみました。第三駐車場の近くに「白馬の名水」がありました。すっきりとしたおいしい水です。


記者の感想

alps_chiemi.gif 

花好きな山の達人に薦められて7月下旬の唐松岳に登りました。本当に花・花・花で写真に納められないほどでした。ピンボケで掲載できない花もありました。
残雪が溶けたばかりの場所には春の花が、八方池にはタカネマツムシソウが咲き秋の気配を感じさせ、頂上付近には高山植物の花が咲き、一堂に集り一斉に咲いているかのようで「山の花サミット」といった感じでした。日帰りで登るにはもったいない時期でした。1泊して下山時はリフト1本分を歩き、黒菱平(標高1680m)まで下ってもっと花を見るのも良さそうです。
  【登山者・記者:アルプスちえみ】