山スキーはこれから!

2008.3.4
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本日の乗鞍高原は良いお天気です。こんな日には必ず山スキーに向かう人がいます。究極の冬の楽しみ「山スキー」は天候が落ち着いてくるこれからも「春山スキー」として続きます。
乗鞍岳では2700mほどに位置する大雪渓で真夏までスキーが出来ることで有名ですが、もちろん今頃の時期も素晴らしいフィールドが待っています。2月の下旬に記者が厳冬期では初めて稜線まで登って滑ってきた様子をお伝えします。
今、山のてっぺんで滑っている人がいるのかなーと想像しながら、御覧下さい。

ツアーコース入口山頂が見えた!
まずは乗鞍高原温泉スキー場の最上部までリフトで登ります。目の前にはツアーコースの入口が見えています。ここでスノーシューを履いたり、スキーの裏にシールを貼り、登る準備をします。
ツアーコースの中は木々に囲まれて安心して登ることが出来ます。やがて左前方にツンと尖った乗鞍の山頂「剣ヶ峰」と手前の「高天ヶ原」が見えます。新雪のラッセルは大変ですが、テンションも上がっていきます。

位ヶ原へ登る最後の斜面風紋がきれい
そろそろ森林限界です。「位ヶ原」という台地状のフィールドに登る前に少し急斜面があります。強風を受けて頑張るダケカンバの木が点在しています。
吹きさらしの位ヶ原では綺麗な風紋があちこちで見られます。どれも芸術作品のようです。この雪の風紋の下にはハイマツが群生して、じっと春を待っています。

乗鞍岳穂高連峰
位ヶ原では乗鞍岳をグッと身近に感じます。今回は山頂に登るのは危険と判断し、別の峰を目指します。
反対の北側には穂高連峰が見えます。この景色を見るために登ってもいいと思えるほど素晴らしい展望です。天候が怪しくなった時はこの付近で断念し、下山したことが何回かあります。少しでも危ないと思ったら、無理をせず引き返すのも大切な決断です。

摩利支天岳に向かって大展望
「摩利支天岳」と「富士見岳」の間の稜線を目指して最後の登りです。紺碧の空とノートラックの斜面が眩しいです。
ようやく稜線に到達、標高は2790m程です。約4時間の登りでした。
(状況にもよりますが、男性のみ又は熟練者のみですともっと早く登れるようです。)
遠く浅間山・美ヶ原・八ヶ岳・中央アルプスなど大パノラマが待っていました。
ここでスキー裏のシールを剥がして、滑走の準備をします。

雪崩のチェック富士見岳の沢を滑る
「富士見岳」の南側にある沢を滑ることにしました。まずは雪崩講習をきちんと受けた経験者が雪崩の危険がないかピットチェックを行います。
今回はテレマークスキーで滑りました。スキー場では味わえない山そのものを滑るダイナミックな感覚と浮遊感がたまりません。極上の新雪滑降でした。

位ヶ原山荘に到着山荘でひと休み
沢を滑るとちょうど「位ヶ原山荘」前の県道に出ます。現在は冬期も営業しているので、心強い味方になります。県道側の入口は風雪が厳しくて使えませんから、「営業中」の看板に従って、裏側の入口からどうぞ。
山荘ではいつも笑顔のスタッフが迎えてくれます。宿泊も出来ますし、今回のように日帰りの山スキー客にも対応してくれます。暖かい食事やコーヒーで疲れを癒しながら、情報やアドバイスをいただけるのも嬉しいですね。

登り返し雷鳥発見!
下山開始です。まずは山荘前の県道に沿って少し登り返して、ツアーコースへ戻ります。林間のツアーコースに出ればもう安心、迷うことなくスキー場へ滑り込むことができます。
真白な雷鳥にもさようなら~、次回来る時には少しずつ羽が夏色に生え変わっているでしょうか?

このようなバックカントリーツアーに興味のある方は、まずガイド付きのツアーで行くのが良いでしょう。
不慣れな雪山を案内してくれるだけでなく、雪崩の危険やビーコンの使用方法など初心者が知るべきことについてもアドバイスしてくれます。乗鞍では「ODSS」というアウトドアを専門としている会社が日帰りツアーやオーバーナイトツアーなどを催行しています。乗鞍のフィールドを熟知したスタッフ達がスキーヤーにもスノーボーダーにも対応してくれます。

また、スキー場が3月30日で終了した後は山スキーのお客様のために、「春山バス」が運行される予定です。運行開始日は県道の除雪の状況によりますので、まだ発表されていませんが、ゴールデンウィーク頃になるでしょう。標高2350mの「位ヶ原山荘」まで一気に連れて行ってくれますから、登りに自信のない方でもチャレンジしやすくなります。