世界最古の「マッコウクジラの化石」を保存する四賀化石館・奇跡の物語
松本市四賀化石館・奇跡の物語
松本市の北部に位置する旧四賀村エリアは、太古の昔海でした。今でもここ掘れwanwanと探していくと魚の鱗の化石や植物の化石などを見つけることが出来ます。
世界最古の「マッコウクジラ」の発掘に携わり、現在四賀化石館で働いてい通称「博士」に当時のお話を伺うことが出来ました。
化石館を造ろう!
今からおよそ30余年前「旧四賀村」(以下四賀村と表示)には、名所になるような施設が何もなかったので、化石が多く出るので「化石館」を造ろうというお話しになりました。四賀村は居酒屋「養老の滝」の創設者の生誕地で、その方が保有している数々の剥製なども展示品を貸してもらえるという話もあり、化石館創設の話が村中で盛り上がったそうです。
村民に化石提供を呼びかける!
四賀村での化石は、大事に保存されていたり、漬け物石替わりにされていたり、家々により様々な存在として扱われていたそうです。
村からの呼びかけで、いろんな方から化石の提供があった中
1人の少年が「恐竜の化石を持っている!(^O^)/」
恐竜はいないよね~と思いながらその化石を見せてもらうと
大きな歯の跡のようなものがありました。
こ・これは・・!
ただモノではない!!ということで、少年が発見した場所に案内してもらうと次々に貴重な化石が発見されました。
そこで信州大学から博士たちを中心とした発掘チームが組まれ世紀の発見が明らかになったのでした。
もしこの時、化石館を造ろうという話がなければ、少年が発掘した「シガマッツコウクジラ」の化石の一端は、いつまでも少年の宝箱に入っていたままだったかもしれません。
昭和61年(1986)、保福寺川の露頭で地元の小学5年生がクジラの化石の一部を発見しました。これを受け、昭和63年(1988)に四賀村(当時)によって大規模な発掘が行われ、マッコウクジラの全身骨格化石の掘り上げに成功しました。
これは環太平洋で2例目、全身骨格としては世界最古の大発見となり、シガマッコウクジラと名付けられました。四賀化石館は、このクジラの全身骨格化石をメインに、旧四賀村内外から採集されたクジラ類やアロデスムス、貝、植物などの化石を収蔵・展示する目的で1989年(平成元年)に開設されました。(化石館HPより)
1階展示室
一歩足を踏み入れると、全長5.5mのマッコウクジラの全身骨格化石と天井から吊るされた全長8.4mの現生ミンククジラ(8歳)の骨格標本が圧倒的な迫力で迎えてくれます。
偶然と思われるプロセスの中で、四賀化石館のメインとなる「シガマッコウクジラ」レプリカが展示されました。(本物は大切に保管されています)
クジラの化石はこのような状態で発掘されることは、本当に稀な出来事です。
世界最古のマッコウクジラ化石を見にぜひ化石館を訪れ、職員から説明を受けていただくと更に楽しいです。
「いつでも気軽に声をかけて頂ければ説明しますが、職員の数が少ないので対応出来ない時もありますので、その際は、ご了承頂けますようお願いします」・・化石館職員の方のコメント
1階展示室の解説パネルをリニューアル
2018年3月~来場者の方に更に見やすく、分かりやすい展示を目指して新しく解説パネルが出来ました。
興味を引くタイトルとわかりやすい解説、化石がどんな魚なのかわかるように魚のイラストも入り見ていても楽しくなるパネルです。
new! クジラの椎骨化石
更にこの3月から泉小太郎伝説に由来するクジラの化石も展示されました。
発掘当時は、「泉小太郎伝説」に登場する竜の遺骸だと伝えられていたそうです。
new! ヒゲクジラの上あごの化石
コプロライトと生痕跡化石
こんな化石もあります!
生物の糞の化石「コプロライト(糞石)」 植物の葉も展示されています。
長野県天然記念物アロデスムス頭骨化石
アロデスムスとは、1400万年前~1200万年前に生息していた海生哺乳類で1000万年前に絶滅したと言われていました。
このアロデスムス化石の頭骨が日本で最初にみつかったのが四賀地区でした。1920年(大正9年)、発見当初は何の化石か全くわからず、後にトドの新種としてシナノトドという和名がつきました。しかし、現在ではシナノアロデスムスという学名がついています。
2階展示室へ
階段には、世界の大理石が貼られています。
2階展示室 古生代・中生代の化石、鉱物標本、ホッキョクグマの剥製などを展示
最近剥製の修理を依頼した専門家から、こちらの剥製は保存処理が素晴らしく、イギリスの大英博物館レベルの質のよい剥製だと太鼓判をおされたそうです。
開館当初四賀ゴールデンキャッスルさんよりお借りしていた剥製は、本年度末に寄贈されました。
隣の部屋は、小学生などの生徒さんたちやワークショップなど「化石教室」がおこなわれる部屋です。
部屋の窓から来たアルプスを眺めるビューポイントになっています。取材日は生憎のお天気でした。
1階ロビー
1階ロビーには、直に触れる化石コーナー・化石教室で採出された化石、ぬり絵コーナー、入り口付近にはこの地域の月遅れのお雛様も飾られて来場者をお迎えしていました。
ミュージアムショップ
ミュージアムショップも楽しいグッズが並んでいます。お土産に来館の記念に!
お勧めは、四賀化石館のシンボル、シガマッコウクジラの全身骨格をポストカード(100円)・クリアファイル(200円)オリジナル商品です。絵本「きょうりゅう」の作者スズキサトルさんデザインです。
明るくなった四賀化石館にぜひご来館ください。
取材で大変お世話になった四賀化石館館長さん、お休みを返上してご案内いただいた学芸員さん、そして博士さん
この場をお借りして感謝申し上げます。ありがとうございました。
松本市では、松本市立博物館が新しく建て替えられます。大きな予算が組まれSpecialなmuseumになりそうです。
museumで1番大事なのは、建物・展示や設備もそうでしょうが、やはり「人」なんですと改めて思いました。