松本に息づく手仕事を聴く

2024.5.23
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松本に息づく手仕事を聴く

5月22日、池上邸の蔵で開催された「松本に息づく手仕事を聴く」(主催:「まつもと市民アーツコレクティブ(仮)」に参加しました。

池上邸の土蔵は「工芸の五月」や「松本建築芸術祭」でもしばしば展示に使われます。


 

トークセッションが始まるまで、蔵の前の庭では能登・珠洲市ブレンドのコーヒーがふるまわれました。

庭にはアヤメやミミナグサが咲いています。


土蔵の内部に押絵雛やその制作過程、七夕人形などが展示されていました。

ベラミ人形店の三村ご夫妻が、松本の伝統工芸制作を生業にするに至った経緯から始まり、江戸から明治そして現代まで節句の人形が暮らしとどのように関わってきたかを、実際の人形を示しながら説明しました。

押絵雛作りを、書かれた資料や先達からの伝承ではなく、古いものを修復することで習得したということに驚きました。これはヤマハの創業者である山葉寅楠(やまは とらくす)が故障した輸入オルガンを修理することでオリジナルのオルガン製造を成功させたこととよく似ており、ものづくりの方法として納得できるものがありました。


 

現在も小さなコテを使って人形作りをしているそうです。

これはコテを使っている場面を描いた浮世絵で、歌川国芳の「大願成就有ケ瀧」シリーズのうちのひとつです。


これから夏の季節、街のあちこちでも見られる七夕人形。


姉様人形 縮緬紙や千代紙をで作られた手遊びのための人形。

これも全国にコアなコレクターがいるそうです。


 

熱心なファン、ベラミが主催する人形教室の生徒さん、などでいっぱいの会場。質問も多く飛び出し、盛況でした。


今回わかったこと、それは・・

押絵雛は決めのポーズをとっています。

そして、現代では一般的ないわゆる立体のリアルな雛人形は見る角度によって印象が変わりますが、平面的な雛人形は見る角度が違っても、同じポーズが見られる、つまり大勢で見ても同じ印象が持てるということです。

見る人みんながお雛様の決めのポーズを共有できるものなのです。