組踊「執心鐘入」との交感をまつもと市民芸術館で見てきました

2019.11.17
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組踊「執心鐘入」との交感をまつもと市民芸術館で見てきました

11月9日(日)まつもと市民芸術館で、組踊「執心鐘入」を見ました。
当日、たくさんのお客様でいっぱいのまつもと市民芸術館。

公演に先立ち、9月23日のワークショップに参加していた私は、参加する前、組踊に対する知識がゼロだったのですが、ワークショップを通して組踊について知り、すっかり組踊ファンになっていたので、否が応でも期待は高まります。

会場にはご近所から普段着で来られている方から、お着物でしっかり正装されている方いろいろな方がいらして、このミックスなワクワク感が市民芸術館たる所以なのかな思いました。

琉球芸能の美と心

前半は琉球舞踊を堪能しました。

宮廷で踊られる宮廷芸能、そして、民の踊り、大衆芸能

宮廷で踊られる祝儀舞踊は落ち着いた中にも華やかさがあり、きらびやかな衣装に目を奪われます。

私はやはり雑踊が印象に残りました。
その中でも「加那よー天川」は若い男女の恋模様を踊りで表した雑踊の傑作と言われているそうです。
恋人二人の仲睦まじい様子がアップテンポで表現され会場からも自然と手拍子が出るほど。

琉球舞踊には荘厳もあり、コミカルあり、いろいろな要素が含まれていてとても楽しめました。

「執心鐘入」

中城若松という美少年が旅の途中、宿を請うところから始まります。
若松は泊めてほしいだけなのですが、宿の娘は、巷で噂の美少年とわかるとあの手この手で言い寄ります。若松は頑なに断り、とうとう寺へ駆け込みます。

寺の座主がいない間の小僧たちの掛け合いが面白く、鐘に隠れた若松を守りながらもうたた寝をしてしまう小僧たちの台詞のない、パントマイムのような動きに会場からも笑いが起こりました。

「組踊」は聞きに行くと言われるほど、音楽の占める役割が大きいそうですが、このパントマイムのような動きも、世界共通のような気がして、はるか300年前に組踊が初演されたとき、言葉の通じない中国皇帝の使者である冊封使に対してどのように歓待したか、言葉よりも歌、音楽、そしてジェスチャー(体の動き)、この世界共通のものを駆使しておもてなししようと考えた踊奉行玉城朝薫の苦心の末の工夫を垣間見ました。

公演の様子(主催者提供) 撮影・山田毅

 

結局、娘は執着のあまり、鬼に変わってしまいます。

このへんのアクロバットがまた見どころ、華やかな中に凄みを感じました。

組踊を見る前は人に尋ねられると沖縄の歌舞伎のようなもののようですと個人的にお話していたのですが、登場場面や背景のシンプルさなどもう少し、能や狂言に近いものだなと思い、想像力を掻き立てる構造だと思いました。

そして、台詞。
ゆっくり、少しずつ階段を上り下りするような台詞回しが本当に独特で、なんだかゆりかごの中にいるような、そんな安心した気分になりました。
これもやはり能や狂言に通ずるものがあるのかと(あまり詳しくはないのですが)。

公演が終わったあと、出演者のみなさんでお見送りをしてくださるもの、組踊を身近に感じるところです。
観覧者が感想を言ったり、ねぎらったり、そして一緒に写真を撮ったり、演技をする人たちも終演後ホットな感想を聞けますし、観覧者も観覧の興奮を直接伝えられて、傍で見ていて、とてもいい雰囲気だなあと思いました。

首里城が火災にあい沖縄は大変なところ、長野の台風19号にも心を寄せていただき本当にありがたいと思いました。

まつもと市民芸術館自体はよく寄って雰囲気がステキなのはよくよく知っているのですが、主ホールに入ったのは、なんと山下達郎コンサート以来。

改めて見ると椅子がとてもステキ(*˘︶˘*).。.:*♡
また何か公演があったら来てゆっくり観劇したいと思うものでした。