2024セイジ・オザワ 松本フェスティバル 8月9日(金) 〜 9月4日 (水)* 開催! 沖澤のどか OMF首席客演指揮者就
サイトウ・キネン・オーケストラ40年という節目を迎える今年、セイジ・オザワ 松本フェスティバルの季節がやって来ます。
サイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)は、桐朋学園創立者の一人であり、偉大な教育者であった齋藤秀雄の没後10年にあたる1984年9月、彼の弟子である指揮者小澤征爾の発案により、世界各地で活躍している齋藤の教えを受けた音楽家が集まり「齋藤秀雄メモリアルコンサート」を行ったことを礎に生まれたオーケストラです。その後、SKOは1987年、89年、90年、91年とヨーロッパ及び北米ツアーで活動を続け、1992年9月、小澤征爾総監督の元、サイトウ・キネン・フェスティバル松本が始まりました。2015年にはセイジ・オザワ 松本フェスティバル(OMF)と音楽祭の名称を新たにし、2022年にはフェスティバル30周年を迎えました。
この年、小澤征爾総監督とSKOはフェスティバル30周年を記念し、JAXAと協力して国際宇宙ステーションISSへ史上初めてとなる生のオーケストラ演奏を届け「ONE EARTH MISSION」を成功させました。小澤征爾が公の場で、最後に指揮をした演奏は宇宙へと届けられました。
2024年2月、小澤征爾総監督は永眠されましたが、総監督はかねてよりOMFのこれからの体制を構想し、SKOアドバイザリー委員と相談の上、この夏の指揮者とプログラムを決定していました。この夏、沖澤のどか、アンドリス・ネルソンスが松本に戻ってきます。そして、フェスティバルとして史上初めて、総監督は沖澤のどかをOMF首席客演指揮者として指名しました。今後は継続してSKOとの関係を築いて行くことになります。
アンドリス・ネルソンスが指揮するのは、ブラームスの交響曲全曲という意欲的なプログラムです。SKOの歴史も踏まえた上でブラームスを取り上げたい、というネルソンスからの提案であり、同時に総監督からの期待を込めてのプログラミングです。ブラームスの交響曲は1980年代から始まったSKO初期のツアーでその全曲を取り上げ、SKOの方向性を決定づけた最も大切なレパートリーであります。
[小澤征爾総監督のコメント] 以下、2024年1月末の時点
サイトウ・キネン・オーケストラの始まりから40周年だなんて、びっくりします。
2022年に沖澤さんとアンドリスと出会えたことは僕にとって、非常に幸運な、素晴らしい出来事でした。二人がSKOと創る音楽をリハーサルや本番で全身に浴びながら、僕は何度も若い時に感じていた冒険の始まりのような、胸の高鳴りを思い出しました。貨物船で欧州を目指してた頃、世界中どこから見ても夕陽はやっぱり美しいんだと気がついたこと、ラヴィニア音楽祭や、タングルウッドやボストンの日々を歩み始めた頃に感じていたあの興奮と胸の高鳴り―それらが鮮やかによみがえりました。
新しい時代に向けて、大きな一歩を踏み出す今年のフェスティバルを、松本を、僕は心から楽しみにしています。
セイジ・オザワ 松本フェスティバル 総監督
[沖澤のどか氏からのメッセージ]
小澤征爾先生の音楽と生き様に憧れる世界中の音楽家の1人として、この特別な音楽祭に戻って来られることを心底光栄で、幸運に思います。
2022年の夏、「フィガロの結婚」の幕が上がったときの震えるような感動と興奮、全公演を終えた後に沸き上がってきた「生きていて良かった!」というあの強い感情は、それまで感じたことのないほど衝撃的なものでした。サイトウキネンに宿る音楽の息吹を全身に受けて、身体が浮くように感じたのです。小澤征爾先生がリハーサル初日から公演最終日まで見守ってくださり、手を取って激励や労いのお言葉をかけてくださったことは、これからの人生においても大きな支えとなることでしょう。
偉大な教育家であった齋藤秀雄先生と、その教えが世界に通用することを知らしめ熱狂させた小澤征爾先生という二人の巨星。その煌めきを次の世代へと受け継いでいくことを使命とし、さらに新たな感動を生み出し続けられるよう、全身全霊をかけて取り組みます。
[アンドリス・ネルソンス氏からのメッセージ]
私にとってマエストロ・セイジ・オザワは、素晴らしい模範であり、唯一無二のリーダーであり、そして偉大な友人でした。あまりに大きな喪失を私たちは未だ深く悲しんでいますが、そんな中でも彼が愛した松本フェスティバルが今年も開催されることは、このフェスティバルこそが彼の不朽のレガシーであることを想起させ、同時に音楽の大使として世界中で活躍したマエストロへの賛辞でもあり、セイジの寛大さと明確なビジョンを証明していることにもなります。
今回は、夏のフェスティバルの時期に、再び松本に戻って来ることを大変心待ちにしています。前回は、秋に、サイトウ・キネン・オーケストラの素晴らしい音楽家の皆さんとマーラーの交響曲第9番を演奏するという大変光栄な機会に恵まれました。これほど感情の幅が広く音楽的に複雑な作品に共に取り組めたことは、SKOと永続的な絆を築く素晴らしい機会となり、今年の夏にブラームスの交響曲全曲演奏でこの関係を継続できることは私にとって大きな喜びです。私はこの交響曲の傑作がSKOの歴史において重要な役割を果たしてきたことを知っています。この美しい音楽を共に再発見できることを光栄に思います。ブラームスの交響曲はエネルギーと活力に満ちており、松本での忘れられない夏をこの上なく際立たせてくれることでしょう。
OMFでは、フェスティバルを創立した総監督の功績に心からの感謝と敬意を表し、小澤征爾総監督のタイトルはそのままに、フェスティバルの全公演を小澤征爾に捧げます。