井上唯 ITONAMI 風景に向かって旗をかかげる
井上唯 ITONAMI 風景に向かって旗をかかげる
会場 ギャラリーノイエ(長野県松本市大手3-2-17)
ギャラリーノイエHP https://noyie.jp/
主催:信州大学人文学部芸術ワークショップゼミ(美術系)
美術作家、井上唯さんをお招きして展覧会を開催します。
井上唯さんが「信濃大町アーティスト・イン・レジデンス2023」において滞在制作された旗を展示し、併せてハギレを使ったワークショップや街歩き、アーティストトークを行います。
旗をみつめ、作り、かかげる、という行為を通じ、旗に込められる「メッセージ」について、一緒に考えてみませんか?
井上唯さんの作品
布をつなぎチクチクと刺繍が施されて壮大な山の風景が出来上がりました。
作品を前に何を感じ取るのかは、見る人の自由
友人とおしゃべりしながら眺めていると、なんと心地のよさを味わえる優しい作品です。
目の前に聳える山々の成り立ちを想像すると、自然の営みやその時間軸の壮大さに気が遠くなる。隆起した大地に、雪や雨が降り注ぐことで地表が少しづつ削られ、山肌や谷、川、湖が生まれ、岩石が風化した土壌に草木が根を張り出す。
信濃大町の滞在制作では、土地で使われてきた布を縫い合わせて大きな旗を作り、糸をチクチクとひたすら縫いつけていくことでこの土地の風景を描き出したい、そしてその旗を山頂でかかげてみたいと漠然と考えていた。山で旗をかかげる意味が自分でも分からないまま作業を進めていたが、様々な営みが重なり混じりあうことでかたちづくられてきた〈風景〉に対峙していると、腹の底から叫びたくなって、旗を振り、かかげる行為へと繋がっていった。家の中で大きく作ったはずの旗は、山ではとても小さく見え、そのことに妙に納得しつつ清々しい気分になった。それは、海原で波にもみくちゃにされ、その敵わなさに腹の底から笑ってしまう時の感覚と同じで、自然界の果てしなさやスケールに打ちのめされ、人間の営みの小ささを思い知って安堵したかったからかもしれない。 そして、ある人に「風景に向かって白旗をあげてるんですね」と言われ、思わず膝を叩いてしまった。この夏、北アルプスの麓の街で生活をしながら地域の人々と縫いあげた旗を、今回は松本の街のなかで展開する。いったいどんな光景が見られるだろうか。
作品のメイキング映像と作った旗を持ち大町の爺ヶ岳の頂上で旗を振っている映像が見られました。
井上唯
井上唯 Yui Inoue
1983年愛知生まれ。滋賀在住。
各地に滞在して、それぞれの土地の自然や人々の営みから学び、そこから着想を得ていくことで、この世界の仕組みや目に見えない繋がりを“モノ”を介して想起させるような光景をつくり出したいと考えている。
素材と対話しながら手を動かしていくことを軸に「生活」と地続きにある「制作」の在り方を模索している。
関連企画
・ワークショップ「旗をTSUKURU」
展覧会のモチーフである旗を学生といっしょに作りましょう。会期中、会場内に旗作りコーナーを設けています。井上唯さんの作品をヒントに、ぜひあなたの/わたしたちの旗を作ってみてください。
日時:オープン時間中、いつでもご参加いただけます。
旗作りコーナー
・「街をARUKU/旗をKAKAGERU」
旗をもって井上唯さんといっしょに松本の街を巡ります。学生が考えた、松本の魅力あるコースを楽しんでいただきます。
会場廊下に展示されている学生が作った旗
女鳥羽川で旗を振る姿
街中のあちこちで旗を振る
旗を振ることで、自分の中で何かが変わるのか?試してみたいです。
本日12月26日17時まで開催中です。