マツモト建築芸術祭 旧油三洋裁店
旧油三洋裁店:ヨーガン・アクセルバル+amachi.
昔、地方に住む子どもは、サーカスや縁日の出店などで外の世界を感じていました。そこには珍しい芸や音楽、新しいおもちゃや食べ物など、好奇心をそそるものがたくさんありました。
今、情報はマスコミやネットなどに溢れていますが、どうしても自分の身体で体験しないと得られないものがあるようです。それが昨年に続いて開催されたこのイベントだと思います。
六九商店街の女鳥羽川寄りにある旧油三洋裁店の展示を見ました。
廃業された店舗を使っての展示です。このイベントのために六九の商店の人が服のモデルになり、ポーズをとったり、スタイリングされたりして写真に定着されています。
土足で畳に上がります。そのベゴベゴ、ブカブカと足に伝わる感触と、ただ壁に貼り付けられた大判の画材紙のようなものにプリントされた写真のウネウネ感が同時に身体に入力されます。
二階への階段には塊のようなオブジェと衣服が無造作に置かれ、ディスプレイされています。見上げた階段のなんと懐かしい角度でしょう。
マツモト建築芸術祭はあえてこの季節を選んで開催しているそうです。寒い時期でも街に人が歩き、賑わうようにとの意図があるようです。
ボランティアで会場をアテンドしているスタッフは誠実で親切です。作品への質問にも快く応えてくれます。ぜひ作品や会場の感想を伝えてください。イベントの解像度がグンと上がります。
昨年の会場ですある旧宮島肉店の建物は新しく菓子店になるそうです。芸術祭がきっかけとなり、街の様子が変わるのかも知れません。