自慢したいこと

2020.3.13
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自慢したいこと

遠くから友人が訪ねてきたとき、松本のまちのどんなところを案内しますか。美しいお城、雄大なアルプス、歴史を感じるまち並みや建築などが定番でしょうか。美味しいレストランや個性的な喫茶店、工芸品や民芸品の店、古本屋なども外せません。

でも自慢したいことは、それらとは少し違います。 それは装置というにはあまりにもさりげなく、プレゼンテーションというほど押し出しがあるわけでもなく、イタズラと言えるほどメッセージがあるわけでもない、そんないくつかの設えです。


宮村町のウサギです。この奥のお宅には大黒様の像があるので、そのお使いなのでしょうか。季節によって服装が変わります。誰が作っているの?どうやって着せるの?何のために?など興味は尽きません。


女鳥羽川河原のベンチと丸太橋

中心市街地から少し外れた女鳥羽川の桜橋付近で見ることができます。ここにベンチがあったら夏は木陰と涼しい風が心地良いだろうなあと思ったのでしょう。丸太は上流から流れてきた物ではありません。川の流れを仔細に見て、ちょっと箱庭的な景色を考えたのかもしれません。


街には正式な住所を示した「街区表示板」と呼ばれるプレートが電柱や建物についています。でも街の人たちは正式な名前ではなく昔から使い習わした名前を使っていることが多いものです。そんな需要もあるのではと考えて、プラダンに印刷した紙を貼り付けただけのシンプルな表示板を設置したのでしょう。東町とその周辺にあります。歩行者はもちろん車からもよく見えます。


住宅地を歩いていると、薪小屋のあるお宅をよく見かけます。薪ストーブのある生活、いいですね。山や森林に近いロケーションならではの、豊かでエコな生活が想像されます。その大きさや積み方にそれぞれ個性があります。アクティブな生活にふさわしい種類の自動車が置いてあることも多いようです。住宅地にあってもウイルダネスを感じる設えです。


単信坊のお堂にかかる紙鎖(ペーパーチェーン)

伝統的な見地からすると違和感もありますが、子供を大切にした僧侶由来のお堂にふさわしいものだと思います。この地域(女鳥羽)の人たち、特に子供たちにどのように慕われているかが垣間見えるものでもあります。


ナワテ横丁のポジティブな張り紙

初めてこの路地に入り込んだ人のための張り紙です。「立ち入り禁止」とか「行き止まり」ばかりでは窮屈に感じます。この肯定感は、街を自由に歩くことにとって、とても大切なことだと思います。


どれも、まちを大切に思う気持ち、こうしたら楽しい、このほうが便利かも、というものばかりです。

それを、禁止もせず、迷惑とも思わず、趣味が違うとも言わず受け入れる、まちの人の寛容性もまた誇るべきものです。