万葉の世界、紅(くれない)から見えてくる情景。上野誠さん「万葉びとの生活(くらし)」講演

2019.2.24
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万葉の世界、紅(くれない)から見えてくる情景。上野誠さん「万葉びとの生活(くらし)」講演

2月23日(土)安曇野市豊科郷土博物館の特別講演会「風景を旅する講座」が、安曇野市穂高交流学習センター・みらいで開催されました。奈良大学文化部教授の上野誠さんが「万葉びとの生活(くらし)」というテーマで、当時の人々は色彩(紅)にどのようなイメージを重ねて暮らしを営んでいたのか、万葉集の歌をひもときながら解説されました。

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「万葉集の講演となると、一般的には、笑いが少なく堅苦しい内容になりがちですが、本来は情緒(歌が伝えるもの)であり、言葉の歴史です」と歌(お経なども含む)を歌いながら、楽しくわかりやすい言葉で講演が始まりました。

赤色の裳・・・をとめの裳の色・ドキドキする・男が見たいもの

ますらをは み狩に立たし 娘子(をとめ)らは 赤裳裾引く 清き浜辺(はまび)を   山部宿禰赤人作

住吉(すみのえ)の 出見(いでみ)の浜の 柴な刈りそね 娘子(をとめ)らが 赤裳の裾の 濡れて行かむ見む

万葉の時代の紅(くれない)の語源についても、百済が高句麗に攻められ、危機感を持った我が国が、呉と交流することになり、呉国から渡来した技術者集団がもたらした染料の赤が、呉の藍(染料)=紅(クレナイ)と呼ばれるようになったと話されました。また紅は渡来品で高価な高級ブランド品でもあり、おしゃれを代表するものでありましたが、負の要因としては色落ちしやすいことからこれらの性質も歌に読み込まれていると話されました。色彩の持つイメージは、その時代の政治的背景や流行・生活といった社会的な文脈から文化の相をあぶり出すことでもあると話されました。

その他、紅の赤裳とは・うつろう色・若い愛人、美人の愛・古女房を大切に、などのテーマでも話されました。

古女房を大切にでは、なれにし衣(きぬ)の実際の布きれを見せて説明されました。

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紅は うつろふものそ つるはみの なれにし衣(きぬ)に なほ及(し)かめやも     大伴宿禰家持作

 

「風景を旅する講座」のお話では、安曇野の屋敷林の、その木が選ばれた理由や、屋根の材料が茅か板など、社会的な文脈から理解することが大切であると話されました。

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上野誠さんは、今回の講演が実現したことについて、「ご縁が有り実現したとお伝えください」と話されました。

参考資料として

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チラシ

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