オーケストラ コンサートBプログラム 小澤総監督と共に魂の演奏
2021セイジ・オザワ 松本フェスティバルが、全公演の中止発表をしてから10日間。小澤征爾総監督、サイトウ・キネン・オーケストラ、スタッフ全員が心血を注いでこぎ着けたオーケストラ コンサートBプログラムの演奏・収録が、本日ついに実現しました。
朝9時。会場となる松本市キッセイ文化ホール周辺は薄曇りの天気。朝11時からのゲネプロに向けて、続々とサイトウ・キネン・オーケストラのメンバーが会場入り。2年ぶりの演奏にワクワクしつつ、ドキドキしつつ。それでも全員が「またこのメンバーで集まることが出来て嬉しい。一緒に演奏が出来て嬉しい。この喜びを演奏にぶつけます」と感じていたと思います。
11時。ゲネプロ開始。8月31日から3日間にわたりシャルル・デュトワ氏指揮のもと行われたリハーサルは、それは綿密なものでした。各パートごとに細かく指示し、緻密に音を創っていったデュトワ氏。9月2日の公開リハーサルを見たマスコミからは「SKOにこんなに細かく指示する人がいるとは」と驚きの声が上がるほどでした。しかしそれはひとえに、デュトワ氏が求めるハイレベルの指示にSKOが応えられるから。フランス作品やストラヴィンスキーを熟知したデュトワ氏の指揮に、SKOの伸びしろがどんどんと引き出されます。全曲を通したゲネプロの後、15時からの本番を待ちます。
15時。正装に身を包んだSKOメンバーが舞台裏に集合。それぞれが適度に緊張した面持ちで登場を待ちます。会場内には収録用のカメラがズラリ。無観客演奏ですが、画面の向こうで演奏を楽しんでくださる観客の姿が、メンバーたちには見えていたと思います。演奏の成功を祈る「Toi toi toi!」の掛け声と共に扉が開き、95名のメンバーがステージへと向かいました。
1曲目はラヴェル:組曲《マ・メール・ロワ》。黒シャツ姿で颯爽と登場したMo.デュトワは、指揮台を外したステージで、スペースをめいっぱいに使い、まるで踊るように指揮をする姿が印象的。デュトワ氏が描く豊かな色彩をSKOが見事に奏でました。
2曲目は本日最大編成のドビュッシー:《海》~3つの交響的スケッチ。海岸に静かに寄せては返す波の音から、大海原で渦巻く潮まで、刻一刻変わる海の表情を多彩な音色で表現。四方を山に囲まれた長野県に波が寄せた瞬間でした。
休憩をはさみ、3曲目はドビュッシー:牧神の午後への前奏曲。奏者の技巧が光る名演に、曲が終わるとそれぞれに称賛が。無観客の中、オケから仲間のメンバーに向けられる温かい拍手と足踏みが会場に響きました。
そして最後はストラヴィンスキー:バレエ組曲《火の鳥》(1919年版)。一度は開催中止となったものの、総監督、SKO、関係各社やスタッフ全員の強い想いで、不死鳥のごとく復活した本日の公演。まさに終曲にふさわしく、荘厳で力強いハーモニーがホールを満たします。素晴らしい音楽家が集まるSKOがデュトワ氏の気迫に満ちた指揮のもと一丸となり、そのほとばしるエネルギーは日本や世界で演奏を見てくださる方に、まさに火の鳥となって届くはず。そんな魂の演奏が16時56分に終わりました。
演奏が終わり、ガランと空いたホールに向かってお辞儀をし、配信用のカメラに手を振ったメンバーたち。収録中を意味する赤いランプが消えると、周りの奏者たちと笑顔で演奏を称えあい、再び、ホールに向かって手を振りました。メンバーの視線の先では、客席で演奏を聴いていた小澤総監督が悦び一杯で手を振っていました。
8月31日からのリハーサルにあわせ、松本入りした小澤総監督。リハーサルには連日通い、デュトワ氏の指揮でめきめきと輝きを増していくSKOの音を聴きました。デュトワ氏とも久しぶりの再会を果たし、大変な時期に来日してくれたことに感謝の気持ちを伝えました。
9月1日の86歳のお誕生日には、ステージの上で、SKOメンバーのハッピーバースデーの演奏と、巨大なケーキでみんなでお祝い。
公演当日の9月3日も、客席でSKOとデュトワ氏の演奏を堪能した総監督。終曲の《火の鳥》では、名演を繰り広げるデュトワ氏とSKOを見ながら自らもずっと指揮をし、来年こそは有観客でのフェスティバル開催へと思いを馳せました。
下記、小澤総監督のコメントを発表いたします。
松本の皆さんに協力していただき、無観客でも、SKOが集まって
音を出せたことは何よりも大きな喜びです。
2年ぶりにSKOの生の音を聴いたら涙が出ました。
こんな大変な時に来てくれた、旧友デュトワにも感謝しています。
松本は、音楽にとってなくてはならない場所です。
今日改めて、強くそれを思いました。
フェスティバル30周年になる来年こそ、松本で皆さんに
お会いできることを楽しみにしています。
セイジ・オザワ 松本フェスティバル 総監督
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セイジ・オザワ 松本フェスティバル実行委員会
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(広報) 担当:関 歩美
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