甲斐駒ヶ岳 黒戸尾根コース

レベル:
山行日: 2017.09.21
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標高:2967m
甲斐駒ヶ岳 黒戸尾根コース

今回は、南アルプスの代表的な山、「甲斐駒ヶ岳」へ上がる、歴史的な登山道「黒戸尾根」ルートをご紹介します。

「甲斐駒ヶ岳」は、南アルプスの北端に位置し、半ば独立峰のような容姿をした
屈指の名峰で、百名山の一つです。標高は2967m。「甲斐駒ヶ岳」は、古くから
修験者にとって信仰の山になってきました。 1816年(文化13年)6月15日に、
弘幡行者の小尾権三郎が、現在の横手駒ケ岳神社からこの「黒戸尾根」登山道
経由で開山したとされています。この「黒戸尾根」は、現在「日本3大急登」の
一つになっていて、その中でも標高差2200m以上と最長!、歴史と伝統のある
登山道なのです。

 

アクセス

【松本市から車でのアクセス】
松本市から高速道路に乗り、岡谷ジャンクションを一路東京方面へ向かいます。
小淵沢インターで高速を下りて、交差点を左折。国道20号に出たら東京方面へ
左折します。10分ぐらい走るとサントリーの白州蒸留所を越えて、道の駅白州
の次の信号の交差点を右折して、尾白川渓谷方面へと県道614号を山手へと
走ります。5分ぐらいで「尾白川渓谷」の駐車場の奥が登山口になっています。

【松本駅から公共交通機関でのアクセス】
松本駅から上諏訪行のJR篠ノ井線に乗り、小淵沢駅まで行きます。小淵沢駅
からはタクシーに乗り、尾白川渓谷駐車場まで。タクシーは約4000円弱ぐらい
だそうです。

 

尾白川登山口~七丈小屋(6時間半~7時間ほど)

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「尾白川渓谷」駐車場の奥に登山口はあり、登山届を出すポストがあります。
今回僕たちは日帰りで黒戸尾根を踏破しに行ったので、早朝5時のまだ暗い中
スタートして行きました。
(コースタイムは登山地図の大体の所要時間です。)

 

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尾白川渓谷駐車場を出てスグに、竹宇・駒ケ岳神社があります。昔の修験者の
人たちが甲斐駒ヶ岳の山頂へと修行で登っていった拠点となった神社です。
なので、この「黒戸尾根」登山道には、本当にたくさんの石仏や石碑や祠が
立ち並んでいました。
(この画像は、帰りの時に撮影した写真です)

 

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「竹宇・駒ヶ竹神社」を通り過ぎてスグに、この吊り橋があります。この
吊り橋を渡ったところから、本格的に登山道が始まりました。 そして
いきなり九十九折の急登が連続して続いていきます。最初は歩くペースを
ゆっくりで登り始めていきました。
(この画像も、帰りの時に撮影した写真です)

 

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僕達が登り始めて30分ぐらいした頃、東の山の稜線から真っ赤に輝く太陽が
上がってきました! ご来光はいつ見ても感動します。この日の早朝はかなり
寒かったのですが、太陽が上がってきてやっと気温が上がってきて、動ける
ようになってきたのでした。

 

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ご来光でオレンジ色に染まる九十九折の登山道を頑張って登りました。
この辺りの登山道は、鎌倉街道の「薬研堀」に似ているV字型の断面形状
になっていました。昔の修験者の人たちが、登山道を作るときに掘ったので
しょうか?

 

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1時間程登って行くと、笹平分岐があります。分岐を過ぎると少し急坂が
緩んできます。この辺りは「笹の海」のようになっていて、「もののけ姫」
の森のようで、とてもキレイした。

 

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そしたら、穏やかに広がる笹の海の登山道がどんどん狭くなってきて
今度は鎖場のテクニカルな岩歩きになっていきました! ここからは
岩場が続くので、手に持っているポールなどはバックパックに取り付けて
両手を使えるようにして慎重に安全に登って行きます。

 

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岩場の次は、ハシゴの連続です! ここからはどんどんアスレチックな
感じになっていきました。 ハシゴの下は崖なので、下を覗くとゾクゾク
してしまいますね・・・。

 

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この「黒戸尾根」登山道は、昔の修験者の修行の登山道だったらしいです。
なので、登山道の道端には、本当にたくさんの石仏や祠、石碑などが
あるのです コチラは「刀利天狗祠」です。
「甲斐駒ケ岳」の登山の歴史は、1816年に弘幡行者の小尾権三郎さんが
現在の横手駒ケ岳神社から、この黒戸尾根を登って開山されたと記録
されているようです・・・。1902年には、あの「ウォルター・ウエストン」
も登られているようです! そして古代には、「聖徳太子」も馬に乗って
登られたとか?!・・・。(真偽は不明・・・。)

 

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やがて登山道は水平になって行きます。そして、少しだけ下りになって
いった先に、この画像の少し広くなっている場所に出ます。 ここには、
昔、五合目小屋があったらしいです。でも、五合目小屋は2007年には
解体されてしまったらしいのです。

 

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広くなっている右奥の方に、最初に五合目小屋を作った「植松嘉衛」さんの
レリーフが飾ってありました! 「黒戸尾根」の登山道は日本最大標高差
の登山道なので、昔は通常なら1泊~2泊して「甲斐駒ケ岳」に登頂していた
と思います。なので、途中の山小屋は非常に重要な施設だったのです。

 

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五合目小屋の周辺にも、本当にたくさんの祠と石仏や石碑がありました。
宗教家でもない僕達でも、何だか山の神様を感じているような気分に
なりました・・・。

 

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五合目小屋跡を越えて行くと、また一気に急登のハシゴセクションが
続きます! このハシゴは超ロングでした!

 

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その後も、岩場の急登な道が続きます。両手も使って安全にハシゴを
ガシガシと登って行き、ロープも駆使して岩場も一気に登って行きました。

 

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そして、「吊り橋」も出現しました! ハシゴのような吊り橋のような
感じなので下を見ると遥か彼方まで切れ落ちていて、ここでもゾクゾク
してしまいました。 (高所恐怖症の方はご注意下さい・・・)

 

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そして、僕たちはスタートしてから4時間弱で、やっと「七丈小屋」に到着
出来ました。 ここでやっと大休止をして、カロリー補給をして、お水も
頂いて、再び山頂に向けてスタートして行ったのでした。

「七丈小屋」は小さな山小屋施設なのですが、いろんなザービスがあって、
売店も充実していて、とても良い感じでした。「黒戸尾根」のルート内では
現在唯一補給出来る山小屋施設なので、貴重な施設なのです。

 

七丈小屋~甲斐駒ヶ岳山頂(2時間半ほど)

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黒戸尾根登山道の七合目にある「七丈小屋」で大休止した後、僕たちは再び
甲斐駒ケ岳山頂へ向けてスタートしていきました。この画像は「七丈第二小屋」
です。コチラの施設は宿泊者の方のみのご利用となっていました。

 

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少し上がっていくと八合目の石碑がありました。 ここに大きな石柱が
あったのですが、これは石の鳥居が倒壊した跡だったようです!・・・。
1913年に駒ケ岳神社の奥社として山頂に「祠」を建てようとしたらしい
のですが許可が下りずにこの八合目に建立されたようです・・・。しかし、
2003年に倒壊。ここに建っていた鳥居、見たかったですね。残念です。

 

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八合目を過ぎて、またしばらく鎖の岩場が続きます! ここの岩場には、
足の置き場が掘られたような感じになっていました。これはたくさんの
人が通るので自然に掘られたていったのでしょうか? それとも人工的
に岩を削って足場を作ったのでしょうか?・・・。この変形した岩がとても
面白いと思いました。

 

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その後も、波状攻撃のように連続して鎖と岩場が続きます! ちょっと
アスレチックのような、クライミングのような感じで、僕達にはとても
楽しいセクションだったのですが、滑って滑落したら大事故に繋がるので
細心の注意が必要です。

 

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岩場の後の登りは、花崗岩が風化してザレた砂礫の岩場になりました。
滑りやすくて、疲れた脹脛(ふくらはぎ)にはとても辛い時間帯でした。

 

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それでも、八合目を越えて行くと、やっと山頂の「祠」が見えました!
右側が甲斐駒ケ岳山頂です。 左の尖ったところは九合目です。
ようやくラストスパートです!

 

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山頂の直下には、「駒ヶ獄神社奥社」が建っていました。この画像は
新しい「駒ヶ獄神社奥社」の石の祠ですね。新しくてピカピカ光って
いました。 スタート地点の駒ヶ岳神社と繋がっているのですね。
(と言う事は、黒戸尾根登山道は「参道」の意味合いがあるのでしょうか?)

 

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上記の「駒ヶ獄神社奥社」の周りにもたくさんの昔の石碑群があります。
とてもたくさんの石仏や石碑があり、昔の人々はこの石を持ってここまで
登ってきた設置したんだと感心してしまいます! どれも「駒獄大権現」
と書かれていて、年号も明治とか大正と書かれているものが多いです。

 

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そして僕たちは、真っ暗な中AM5時にスタートしてから、5時間半かかって
10時半頃に、甲斐駒ヶ岳山頂(2967m)に到着しました!
日本3大急登で、標高差2200mの「黒戸尾根」、ワンデイ制覇です!
(通常のコースタイムでは、七丈小屋に1泊してから、翌日に山頂へと
登って帰る行程になると思います。)

 

甲斐駒ヶ岳山頂からの景色。

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まずは、山頂にある大きな「祠」です。八合目ぐらいからでも見て分かる
ぐらいに、これまでで一番大きな石の祠が山頂にありました。 僕たちは
安全登山できた事を、感謝して手を合わせました。

 

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まず最初は、「八ヶ岳連峰」です。
黒戸尾根を登っている最中、どこからでも後ろ側に八ヶ岳が見えていました。
甲斐駒ヶ岳山頂から見る「八ヶ岳」は真正面に見えて大迫力でした!

 

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そして、ちょっと遠くですが松本市である「槍~穂高連峰」も見えました!
この山の形は絶対に間違うことはありませんね!

 

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そして、南アルプスの山頂と言えば、やはり「富士山」です!
南アルプスの山頂からは富士山がとても大きく見えて感動的だ!
とは聞いていたのですが、まさに圧巻の大迫力な感じで大きく
見えました! そして、手前の山は「鳳凰三山」です。 左側に
針のように尖った山は「オベリスク」と言うらしいです。

 

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そして、日本第二位の高さを誇る「北岳」(3192m)です!
端正な形で、この周りでは一際高く見えていたので、スグに分かりました。
北岳には「バットレス」という岩場があるので、次回にはクライミングで
「北岳」へ挑戦してみたいと思いました。

 

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そしてコチラは「御嶽山」です。
松本市や乗鞍岳から見る「御嶽山」は、富士山のような端正な形をしているの
ですが、甲斐駒ヶ岳からみると、台形を3つ並べたように横に広がっていて
迫力があるように見えました。山の形は見る場所によって本当に変わりますね。

 

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最後はやはり、我らが松本市の「乗鞍岳」です!
でも、ちょっとタイミングが悪くて、なぜか乗鞍岳周辺には雲が
出ていて剣ヶ峰山頂だけしか姿が見えませんでした。 それでも
甲斐駒ヶ岳側から乗鞍岳山頂が見えて、ちょっと感動でした。

 

甲斐駒ヶ岳山頂~尾白川渓谷登山口(6時間程)

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晴れ渡った甲斐駒ヶ岳山頂からの景色をゆっくりと楽しんだ後は、
登ってきた来た道「黒戸尾根」を、また歩いて帰っていったのでした。

 

甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根コースは、日本3大急登で標高差2200mと最長ルート
なので、やはり今回はかなり疲れました。通常だと、途中の「七丈小屋」
に1泊して、翌日に山頂に登頂してから帰るのが良いかと思います。
帰りは同じ黒戸尾根を下っても、北沢峠へ下って南アルプスバスに乗って
下っても良いと思います。登山道はハシゴ場も岩場も整備されているので、
それほど危険な箇所は無いとは思いますが、滑落の危険性のあるところは
たくさんありますので、十分注意して登山を楽しんでください。

【登山者・記者:ハタゴニアン】