横尾本谷右俣~南岳。
穂高連峰の中心地である涸沢へと横尾から上がっていく途中にある本谷橋の手前から、川沿いに登って行くヴァリエーションルートになっている「横尾本谷右俣」と言う沢があります。 この「横尾本谷右俣」という細いスジのような沢は、通常登山道ではないのですがルートとなっていて、横尾尾根に乗っ越すコルへと登れるようになっているのです!!・・・。 この「横尾本谷右俣」のヴァリエーションルートは、5月はまだスキー出来たり、6月~7月にはまだ残雪が多く残るのでアイゼンやピッケルが必要な残雪ルート、そして9月になるとほぼ雪が無くなって沢登り系のルートとなります。今回僕は、軽装のワンデイ登山で、9月に行ってみたのでした。
上高地~横尾までのルートは、「槍ヶ岳」の記事をご覧下さい。→「槍ヶ岳・槍沢コース」
「横尾~本谷橋」(1時間程)
横尾大橋を渡って、一路「涸沢」方面へと進んで行きます。最初は、左手に大きな「屏風岩」を見ながら川沿いを歩いていき、後半は少し登りになっていきます・・・。
そして、ちょっとシンドくなってきた頃に、本谷橋という吊り橋に到着します。通常、「涸沢」へと上がるルートはこの吊り橋を渡った先の登山道を登って行くのですが、今回の「横尾本谷右俣」ルートはこの本谷橋を渡らずに川沿いを遡行していくのです。
「本谷橋~横尾尾根」(約3時間程)
二股から右へと分かれたポイントです。これが「横尾本谷右俣」です! この辺りはまだ川原が広くなっていますが、登山道も道標も何も無いので、自分が歩きやすいと思う岩の上を飛び移りながら、ひたすら川の上側を目指して進んで行くのです・・・。
そして、最後の滝を乗っ越すと・・・・、ドッカァーーーン!と、広大で美しい横尾のカールが、目の前に広がったのでした! この一気に目の前がカール地形が広がる瞬間は、ちょっと感動すると思います!
ハイマツ帯を抜けると、このルートのハイライトな場所である広大なカールが広がります! 素晴しく雄大な景色です! 左側のカーテン状の山が南岳で、右側のギザギザの稜線が横尾尾根です。
後ろを振り返ると、「屏風岩の頭」が沢の真ん中に見えます。「屏風岩」は、ここから見ると双耳峰のように見えます。
左側には、「南岳、東壁」が聳えています。素晴しい景色です!! この横尾カールは、7月頃は高山植物の花が咲き乱れ、秋はナナカマドの紅葉もとてもキレイらしいです・・・。
そして、横尾尾根の稜線に上って通常の登山道に合流したら、この「横尾本谷右俣」のヴァリエーションルートの部分は終了です! ここからは通常の登山道となります。 横尾尾根の向こう側には、「常念岳」がきれいに聳えていました!
「横尾尾根のコル~南岳」(約1時間程)
ここからは、天狗原や氷河公園から来る通常の登山道となります。 でも通常の登山道とは言っても、この岩峰を登って行くので、とても厳しいコースです。途中の岩場ではハシゴや鎖もありますので、十分注意しながら登っていきました。
そして、槍ヶ岳~南岳の稜線に出ました! このコースの北側にはいつも槍ヶ岳が見えていて、とてもキレイです!
南側を見ると、丸い南岳が目の前に見えるのです。ここまで来ると、南岳の山頂まであともう少しです。
そして、南岳の山頂に到着しました!! この日の槍ヶ岳の眺望は、雲一つ無い快晴で、最高にキレイでした!! 僕個人的には、南岳周辺はいつ来ても他の登山者が少なくて、静かなので好きですね・・・。景色を眺めながら山頂でゆっくりしたい気分になるのです。
南岳山頂を越えて南側へ5分ほど行くと、南岳小屋があります。稜線の素晴しい山小屋です。僕はここでお昼ご飯を頂き、大休止をしました。 北側には槍ヶ岳、南側には大キレットから北穂高岳、常念岳なども見えていて、いつまで眺めていても飽きない、最高に美しい山岳景色です。
「帰り。南岳小屋→上高地」(4時間程)
【注意と総評】
今回の「「横尾本谷右俣」のヴァリエーションルートは、前半は沢登り的なルート、後半は横尾カールの真ん中を通ってとても素晴しい景色を見る事が出来る、好ルートでした。しかし、このルートは地図にも載っていない、沢を遡行するヴァリエーションルートのため、沢登りやクイミングの出来る技術と経験、そして初心者はロープやハーネスなどのクライミング用ギアが必要なルートだと思います。今回僕は軽量装備の日帰りで行きましたが、通常だと横尾山荘で1泊してそこからスタートして南岳小屋までが2日目、そして3日目に下山という2泊3日が良いと思います。 もしこのルートに行ってみたいと思われる方は、必ずクライミングが出来る登山ガイドさんと一緒に行って下さい。くれぐれもよろしくお願いします!
【2019年9月19日 登山者:ハタゴニアン】