岳沢
岳沢は、上高地から穂高連峰へ登る途中、標高2,230mにあり、「岳沢ヒュッテ」がある場所として登山家たちに知られています。前穂高岳や奥穂高岳への上級者向けの登山基地ですが、上高地から日帰りで登って来れ、穂高連峰を間近に見られるスポットとしても人気があります。
岳沢ヒュッテは、50年以上の歴史を持つ山小屋でしたが、2006年の記録的な豪雪で雪崩により損壊し、主人の上条岳人さんが急死される不幸もあり、’07年は飲み物や貸しテントなどの売店とトイレが使用できるだけでした。
登山道は、上高地から見えるカール(氷河期に氷河によってできた渓谷)を直線的に登るため、岩が多く、変化には乏しいですが、途中、天然のクーラーの風穴があり、また、秋にはすばらしい紅葉が見られます。
【2010年7月追記】2010年7月23日、新しく建てられた「岳沢小屋」が、待望の営業を開始しました!「岳沢小屋」、営業再開の記事をご覧ください。
登山口〜風穴(20分)
バスターミナルから河童橋に向かい、観光客でにぎわう河童橋を渡って右奥の道を明神池方面に歩きます。トイレは岳沢にもありますが、環境保護のため、バスターミナル付近で済ませておきましょう。15分ほど歩くと、左側に小さな登山口があります。
まず、上高地らしい木道や石段の整備された道で、沢の音が聞こえます。やがて、カラマツ林になります。鳥の声も聞こえました。
岳沢のコースには、下から10〜1の数字の書かれたプレートがあり、「6に着いたぞ。次は5だ。」のように、目標にしながら登ることができます。
7のプレートからすぐの所に、風穴があります。
風穴〜岳沢(2時間20分)
風穴は、洞窟の中に夏でも氷が解けずに残っているため、天然のクーラーのように、信じられないぐらい涼しい風が吹き出している場所です。岩を触っても冷たく、休憩するにはぴったりです。
風穴から10分ほどで、登山道の上に岩石がごろごろ積み重なっている「ガレ場」があります。岩の上を注意しながら登ります。やがて視界が開け、眼前に穂高連峰が見えます。
ここからが長丁場で、500mほどの標高差を、ほぼ直線的に登ります。周りはいつの間にかダケカンバの多い林です。ヤマホタルブクロなどの高山植物も咲いていました。
最後の10分ぐらいの行程が、急勾配の登りです。左を見ると、氷河が作ったカールの見事なまでに美しい斜面です。振り返ると、上高地のバスターミナルや帝国ホテルの赤い屋根がゴマ粒のように見えます。頑張って登ると、岳沢ヒュッテの屋根が見えて来ました。
岳沢〜登山口へ下山(2時間)
岳沢ヒュッテから右が、井上靖の小説『氷壁』の舞台、前穂高岳への登山道です。重太郎新道と呼ばれる日本アルプス屈指の急斜面で上級者向けコースです。また、左からは西穂高岳方面への登山道です。岳沢ヒュッテで宿泊できないため、テントで寝泊まりする人がいます。下が岩場なので、寝心地は良くないでしょうね。
前穂高岳への登山道の方に少し行くと、7〜8月まで雪渓があります。
下山は、元の道をたどるしかありません。岩場では特に注意しましょう。
登山者の感想
今回は、大人2人、小学生4人で登りました。番号のプレートや風穴や雪渓があるので、子どもも楽しめました。天候などのコンディションが良く、必要な装備を携行し、基礎体力があれば、登山経験の少ない小学生でも登れます。
【登山者・記事 常念あきら】