厳冬期・霞沢岳・西尾根。

所要時間:9時間程  レベル:
山行日: 2025.03.14
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標高:2646m
厳冬期・霞沢岳・西尾根。

今回は、「霞沢岳」へ雪のある厳冬期にだけ登れるルートの西尾根を紹介します。

霞沢岳(かすみざわだけ)は松本市上高地のスグ南に聳える山です。標高は2646m、日本200名山の一つです。穂高連峰の眺めが素晴らしいと評判の山です。この霞沢岳は、通常の夏山登山では徳本峠から登山道がありますが、雪に覆われた厳冬期には「西尾根」を登っていくヴァリエーションルートがあるのです。今回はその西尾根を辿って霞沢岳に登ってみました。

※【注意!!】このルートをワンデイで行くには、厳冬期のアルパインクライミングの出来る技術と経験と体力、そしてアイゼン登攀の技術が必要です。今回僕達は厳冬期に山スキーで日帰りで行きましたが、かなり急な雪上の登攀で、長い時間がかかります。もしこのルートに行ってみたいと思われる方は、必ず厳冬期のクライミングが出来る登山ガイドさんと一緒に行って下さい。くれぐれも遭難しないように、よろしくお願いします。

 

アクセス

厳冬期の上高地へのアクセスは、ありません。夏なら「沢渡」という上高地へ入るシャトルバスのターミナルからバスに乗って入るのですが、厳冬期は釜トンネル前のゲートが完全に閉鎖されています。松本市内から→「沢渡」までは、上高地線で新島々まで電車を乗り、新島々からはバスが出ています。そして釜トンネルまでは国道158号線を歩いて釜トンネルまで行くのです。マイカーでも沢渡の駐車場に車を置いて、釜トンネルまで歩いていきます・・・。今回はとりあえず、釜トンネルをスタートにしてレポートを書きます。

 

釜トンネル入口→産屋沢トンネル→西尾根取り付き。(約40分程)

釜トンネルの入口からスタートしていきました。今回は電灯がついていたのですが、厳冬期の釜トンネルは真っ暗な時もあるので、必ずヘッドライトを持っていきましょう。釜トンネルは1.3kmの11%の登りで、約30分程です。続く産屋沢トンネルは約10分ぐらいで歩くことが出来ると思います。

 

西尾根取り付き→稜線の岩場まで。(約4時間程)

産屋沢トンネルを抜けた先から西尾根に取り付いていきます。西尾根の登攀ルートにはピンクテープが巻かれていますので、それを辿りながらアイゼンを利かせて雪に覆われた細い尾根を登って行きます。いきなりの急な登りなので、最初は息が一気に上がります・・・。

 

「西尾根」は、細い尾根なので(たぶん)迷う事は無いとは思います。そして、シラビソの林の中の細い尾根を、終わりが無いように感じるぐらいに延々と登っていくのです。時々氷になった雪の場所などもありますので、滑落しないようにアイゼンをしっかりと蹴り込んで利かせて、一歩ずつ確実に登っていきました。

 

時々、大きな岩に当たります。このような場所ではアイゼンはもちろんですが、クライミングのピッケルワークも必要になってきます・・・。そしてルートファインディング能力も試されます。ピンクテープを辿りながら周り込んだりして登っていきました。

 

延々と雪のシラビソ林の急斜面を登って行くと、最初にクリアに見えてくるのは「乗鞍岳」です! 乗鞍岳は独立峰ですが23つの峰があるそうです。それが良く分かる眺望でした。

 

3時間程も登っていくと、後ろを振り返ると「焼岳」も目の前に大きく見えてきました! ここまで来ると、稜線まであと少しです。ここまでは延々とシラビソ林の中でしたが、この先は森林限界となり、木々は一気に無くなって雪の稜線となるのです。

 

核心の岩場→霞沢岳山頂。(約30分程)

この先は、細い尾根がさらに細くなっていき、右側は雪庇(せっぴ)になります。雪庇に乗って割れると→そのまま滑落の危険性があるので、なるべく左側をピッケルとアイゼンを利かせて歩いて登っていきます。

 

そして、この「霞沢岳・西尾根」には、稜線に出る手前に、このような岩場が出てきます。ここが核心部分(一番危険な難しい場所)となります。この黒い岩場の真ん中の部分をクライミングして登っていくのです。

 

岩場セクションを途中から下へ向いて見ると、こんな感じです。一応、登るルートとなる場所の真ん中に「お助けロープ」が残置してありますが、このロープは残置してあるモノなので、このお助けロープを引っ張って登っていき、千切れたり抜けたりすると→滑落して死んでしまうので、補助的に使うぐらいに考えて登って行った方が安全だと思います。初心者の方は必ずガイドさんにロープアップして頂いて下さい。

 

岩場を登りきると、穂高連峰の眺望が一際大きく見えてきました! 素晴らしい眺めですが、ここまで来ると風がとても強くて、僕が行った時は立っていられない程でした・・・。

 

岩場を越えると、なだらかな丸い稜線が山頂へと続いています。 ここまで来たら、あとはもう難しい場所はありません、景色を楽しみながらゆっくりと登っていきました。写真の峰は山頂ではありません。霞沢岳の山頂は、この峰のさらにそのまた奥になります。

 

そして、爆風の中、霞沢岳の山頂に登頂です!! 延々と続くシラビソ林の細い尾根を登り切り、岩場も何とか越えて、やっと辿り着きました。 山頂の看板は雪に埋まってはいませんでした・・・。

 

霞沢岳山頂→K2ポイント→八右衛門沢スキー滑走→上高地。(1時間程)

通常の登山なら、来た西尾根の同じ道をピストンで辿って帰って行きます。今回僕はスキーを担いで来たので、K2と言われる霞沢岳の少し北側にある峰から→雪に埋まった八右衛門沢をスキーで滑って帰っていきました・・・。霞沢岳山頂から→K2までも、雪庇になった細い尾根をアップダウンして辿るのが、とても難しかったです。

 

そして、八右衛門沢へスキーで滑り込みました。北斜面なので太陽光の影響はあまり受けないからパウダーかな?と思ったのですが、カチカチのアイスバーンとモナカ状態でとても滑りにくかったです。それでも何とかターンを繋げて滑って帰っていきました・・・。

 

八右衛門沢の下部は雪崩のデブリだらけで、ガチガチの岩のような雪塊でボッコボコになっていました! これではスキー滑走は出来ません。なので、ここではまたスキーを担いで歩いて下りていきました・・・。なかなか上手くはいかなかったです。そして八右衛門沢を滑り切ったら、赤い屋根の帝国ホテルの目の前に出る事ができました。

 

上高地→釜トンネル。(1時間半程)>

その後は雪に埋もれた上高地線の道路をスキーで滑って帰っていきました。そして、産屋沢トンネルからはまたスキー用具を一式担いで、釜トンネルを歩いて下っていきました。霞沢岳山頂では立っていられない程の爆風だったのに、上高地に下りてきたらとっても穏やかでした。穂高連峰が本当にうつくしかったです!

 

<感想>

霞沢岳は、穂高連峰の山々が目の前に見える素晴らしい眺望の山なので、以前から厳冬期に行ってみたいと思っていたのです。その霞沢岳に冬期にスキーを使ってワンデイで行けてよかったです。この「西尾根」コースは、頑張ればワンデイで行く事が出来るコースなのですが、同じような細い尾根を延々と登って行くので精神的にシンドかったですね。でも山頂からは最高の景色が堪能できます。厳冬期の山スキーでは、滑る斜面のコンディションの見極めが非常に難しいと思いました。

 

【※注意!!】

冒頭にも書きましたが、このルートをワンデイで行くには、厳冬期のアルパインクライミングの出来る技術と経験と体力と技術が必要です。今回僕はまた厳冬期に山スキーで日帰りで行きましたが、通常だと帰るまでに9時間以上もかかると思います。 もしこのルートに行ってみたいと思われる方は、必ず厳冬期のクライミングが出来る登山ガイドさんと一緒に行って下さい。くれぐれも遭難しないように、よろしくお願いします。

 

【2025年3月14日。登山者、記者:ハタゴニアン】