明神岳、5峰~1峰縦走

レベル:
山行日: 2018.06.14
18
標高:3090m
明神岳、5峰~1峰縦走

「明神岳」は、上高地の河童橋から見る穂高連峰の右側に主峰1峰(2931m)から~5峰(2726m)まで並ぶ、稜線の峰々です。現在は登山道は無く、登山地図にもルートは載っていませんが、昔の人が岩峰をクライミングに行くために通った踏み跡と目印が残っています。今回は、春にその踏み跡を辿って明神岳5峰から~主峰の1峰~前穂高岳へと縦走してみましたので、ご紹介したいと思います。

 

「明神岳(2931m)」は、不遇な山だと思います・・・。穂高連峰の中で左側~真ん中に並んでいる西穂高岳~奥穂高岳のルートは、圧倒的な人気を誇っていて訪れる人もとても多いのですが、穂高連峰の中で右側に並んでいる「明神岳」は1峰から~5峰まで錚々たる峰々が並んでいるのに、現在は登山道が無いせいで山頂へ登る人はほとんど居ません・・・。 しかし、昔むかしは、この「明神岳」へと続く登山道があったらしいのです! そして現在は、アルパインクライミングのヴァリエーションルートになっているのです。
 
ヴァリエーションルートとは、登山地図には載っていないアルパインクライミング的なルートです。なので、この記事を見て「自分も行って見たい!」と思われた方でも、通常の登山道のルートではないので、必ず登山ガイドさんにお願いをして一緒に行ってみて下さい。よろしくお願いします・・・。
 

まだ朝日が入って来ない薄暗い朝一番に、上高地へと入って行きました。

 

 

「上高地→明神岳5峰。(約3時間ほど)」

上高地の河童橋を渡って左岸の治山林道を少し進むと、この「岳沢登山口」があり、一路岳沢を目指して登っていきます。

 

 

約1時間弱ほど登ると、風穴の天然クーラーの少し手前に、この「岳沢ー穂高」の⑦番看板があります。ここから岳沢登山道を離れて右側の尾根へと登り上げていくのです。明確な目印などはありませんが、登山道のように踏み跡があるので、熟練登山者の方だと注意してみていると分かると思います。

 

 

岳沢登山道を離れて明神5峰へあがるルートになると、手も使って登って行くような超急登の尾根をどんどん登っていく事になります。時々目印やトラロープなどがあるので、それらを見つけて辿っていきます・・・。この尾根で一気に標高1000mを登り上げる程の急な登りなので、非常にシンドイ登りです・・・。

 

 

この前明神沢手前の尾根は、最初は樹林帯ですが、一気に標高が上がっていくので、上に行けばいくほど景色も一気に開けてきます! 向こう側の西穂高岳~奥穂高岳の稜線が一望できるようになって来ました!

 

 

樹林帯の尾根はどんどん上がるにつれて細くなっていきました。そして、植生もどんどん変わってきて、ハイマツなどが混生してきました・・・。 目前に尖った峰が見えてきましたが、これが明神岳5峰なのでしょうか?!・・・。

 

 

そして、上に上がるにつれて尾根の道はどんどん細くなっていき、岩場も多くなってきて、だんだんとアルパインクライミングのヴァリエーションルートっぽくなってきました! 岩場登りは怖いのですが楽しくもあります。踏み後のルートもロープが張ってあるなど上にあがると鮮明になっていたので、僕たちは迷わず一気に登って行きました。

 

 

標高が一気に上がってきて樹林帯を抜けていくと、一気に景色が広がりました! バックには、ついさっきまで居た上高地や河童橋、そして奥の方には、焼岳(右側)、霞沢岳(左側)、乗鞍岳(中央左)が、ド~~ンと見えてきました! 素晴しい高度感と山岳景色です!
 

 

そして、最後の砂利でザレた登りをこなして、やっと「明神岳5峰」の山頂へ到着しました! 岳沢登山道からの超急登が終わって、やっと第一関門突破です。 僕たちはここまでで約3時間程で到着できました。 この5峰手前の稜線には、いくつかテントが張れる平坦な場所がありました。1泊2日で登山する人達は、ここでテントを張って1泊するのでしょう。でも水場もトイレもありませんので、水は全部持っていかなければならず、トイレもないので携帯トイレが必ず必要になります。(携帯トイレを使ってゴミもトイレも持ち帰りましょう!)
 
この明神岳5峰の山頂には、目印の古いピッケルが刺さっていました! 一体誰のピッケルなんでしょう??・・・。

 

 

「明神岳5峰→明神岳主峰1峰→前穂高岳。(約4時間ほど)」

明神岳5峰からは、いよいよ明神岳の縦走が始まります! 岩場の稜線歩きは危険なルートなのですが、クライマーにとってはとても楽しいルートなのです。 5峰の先には、このように明神岳の峰々が並んで見えてきます! 左から4峰、真ん中が3峰、一番右の大きな三角形が2峰です。これからこの明神岳の峰々の稜線を左から右へと登って下って歩いていくのです!
 

 

「明神岳」の縦走ルートは、マーキングもロープや鎖も無い向こう側の西穂高岳~奥穂高岳の稜線歩きという感じらしいです・・・。 登っていて、その言葉が良く分かりました。岩場では自分自身でルートファインディングの必要がありますし、岩場の岩はあまり人が歩いていないせいで浮石がとても多いのです。そして登っては下るの繰り返しがタイヘンでした。

 

 

振り返ると、自分達が辿って登ってきた稜線がクッキリと見えます。 岩場を登ると標高が一気に上がるので、登ってきたルートがいつの間にか遥か彼方になっていくのです。

 

 

そして、「明神槍」と言われる程尖った明神岳2峰の山頂に到着しました! せっかくなので岩峰のピークに立ってみました。

 

明神岳2峰から1峰との間のコルへは、ほぼ垂直の岩壁になるので、ここではロープを使っての懸垂下降をします。なので、ロープを支点にセットして、腰にハーネスと下降器具のATCを掛けていきます。

 

そしてロープを使って一気に懸垂下降をしていきます! 今回の僕達は50mシングルロープ1本だったので、2回に分けて懸垂下降を掛けて下っていきました。懸垂下降用の支点はいくつかありましたが、サビた古いハーケンなどを支点に使うときに注意が必要だと思いました。

 

 

1峰と2峰のコルから、いよいよ明神岳主峰である1峰へと上がります! バックの右側には、先ほど懸垂下降した2峰の岩壁があり、その奥には乗鞍岳が素晴しくキレイに見えていました!

 

そして、明神岳主峰(2931m)の山頂に到着しました! バックには奥穂高岳(左)と前穂高岳(右)が目の前に圧倒的な大迫力で見えていました! この日は素晴しい快晴に無風という最高のコンディションだったので、本当に気持ちよくて、素晴しい眺望を楽しむことが出来ました!

 

 

明神岳1峰に到着しましたが、縦走はココで終わりではありません。明神岳縦走ルートは、ここからスグ下っては帰れないのです。帰るには、今まで来た道を帰るか、この先の前穂高岳まで繋げて縦走して登り上げてから重太郎新道で岳沢まで下って帰るしかないのです・・・。なので、ここからまた岩場を下ったり登ったりして前穂高岳まで進んでいきました。

 

 

いよいよ最後のピークである「前穂高岳」が近づいてきました! この最後の登りが砂や砂利が浮いた登山道のような登りだったので、ここまで登ってきて疲れている太腿にはかなり辛かったのですが、これまでの縦走を噛みしめるようにゆっくりと一歩ずつ登って行ったのでした。

 

 

前穂高岳へと上がる途中で振り返ると、明神岳1峰(左)と2峰(右)が、素晴しい岩稜で突き上げるように聳えて見えました! あそこを登って、ピークに登って、越えてきたんだ!と、感無量でした!

 

 

そして、前穂高岳の山頂に到着しました! これでようやく明神岳縦走が完成です! 明神岳5峰から前穂高岳山頂までは、約4時間ほどでした。 この時期にしては雪はかなり少なくて上り易かったのですが、前穂高岳周辺で特に涸沢側には雪がたくさん残っていました。踏み抜きや滑落には十分注意したいと思いました。

 
 

「前穂高岳からの景色」

前穂高岳から見た「奥穂高岳」です。今年の春はかなり雪は少ない状態のように思いました・・・。例年よりは約3~4週間ぐらいは雪融けが早いように感じました・・・。 僕は、この前穂高岳から見るジャンダルムが好きですね。

 

 

「槍ヶ岳」までキレイに見えました。涸沢にはまだ雪がたくさんありましたが、槍ヶ岳の方面も雪は少ないように感じました。

 

 

「前穂高岳→岳沢→上高地。(4時間ほど)」

前穂高岳山頂からは、通常の登山道である重太郎新道を下って、岳沢、そして上高地へと帰って行きました。この春の時期の穂高連峰の稜線では春の花がたくさんさいています。特に、6月なのに山桜の花が咲いていて、周りはハイマツの新緑が眩しいぐらいで、とてもキレイでした! バックにはさっきまで登ったり下ったりしていた明神岳1峰~5峰のスカイラインがクッキリと見えていて、さっきまであそこを登っていたんだな~と、とても感慨深かったです。

 

 

岳沢小屋さんに立ち寄って、大休止とお昼ごはんを頂きました。達成感に浸りながらの山の中でのランチは最高の気分でした。

 

 

そして最後は美しすぎる新緑のトンネルをくぐりながら、岳沢小屋から上高地へと帰って行きました。

 

【注意と総評】

今回の「明神岳5峰→1峰→前穂高岳」の稜線縦走は、とても素晴しい岩場の縦走路でした。岩場登りや稜線歩きが好きな方には素晴しい景色を見る事が出来るルートだと思います。しかし、このルート上に水場は一切ありませんので、飲料水は十分に持っていかなければならないと思います。僕達は1人=2L のお水を持って行ったのですが全然足りなくて、後半の重太郎新道の下りで脱水症状手前ぐらいにノドがカラカラに乾いていました・・・。そして、このルートは地図にも載っていない長い岩場の稜線歩きのヴァリエーションルートのため、アルパインクライミングの出来る技術と経験、そしてロープやハーネス、カラビナやスリングなどのクライミング用ギアが必要です。今回僕達は軽量装備の日帰りで行きましたが、通常だと5峰辺りで1泊だと思います。1泊の場合はさらにテントなどの宿泊用ギアと大量の水と携帯トイレが必要になり、バックパックが重くなるので行動も遅くなります・・・。 もしこのルートに行ってみたいと思われる方は、必ずクライミングが出来る登山ガイドさんと一緒に行って下さい。くれぐれもよろしくお願いします。

 

【2018年6月14日 登山者:ハタゴニアン】