明神岳 1峰《残雪期》
今回は、北アルプス穂高岳連峰の並びにある「明神岳1峰」をご紹介したいと思います。
「明神岳」は、上高地から見える穂高岳連峰の稜線の並びの、一番右側にある1峰~5峰の峰々です。昔は前穂高岳への登山道から分岐して登れる道がありましたが、現在は夏の登山道が廃道に近い状態になっていて、なかなか登る人が居なくなっているマイナーな山なのです・・・。
今回は、一日での日帰り登山とスキー滑降を2つ合わせてしてしまおう!という事で、4月12日のまだ真冬のように雪がいっぱいの時期にエキストリームな登山で行ってきました!!残雪期と書きましたが、北アルプスの穂高連峰は4月ではまだまだ厳冬期の様相です。
釜トンネル~上高地(2時間)
今回は4月上旬という事で、まだバスが運行されていません。なので、早朝3時半に上高地の入口である「釜トンネル」のゲートまで友人に車で送って頂き4時スタート。そこから歩いて上高地を目指しました。(上高地の河童橋に着いたのは午前6時少し前でした)
上高地・河童橋~岳沢小屋付近(2時間)
上高地からは、夏道の岳沢の登山道の入口から、雪の上を歩いて登って行きます・・・。道が雪に埋もれていて見えないので、大体の所で登って行きました・・・。すると突然木々が無くなり、大きな雪原に出ます。ここが「岳沢」になるので、この後はこの広大な雪の「岳沢」を登って行きます。
この日のスタートは小雨がパラパラの怪しい天気だったのですが、岳沢小屋付近まで来た時に一気に雲が取れて青空が広がりました!! 素晴らしい山岳風景に思わす「うおぉぉ〜〜!!!」と唸ってしまうぐらいでした! 画像は岳沢小屋付近から見上げた「吊尾根」になります。
岳沢小屋付近〜奥明神沢のコル(3時間)
岳沢小屋付近地点からは、細いルンゼ状の「奥明神沢」に入って行きます。ここから斜度が一気に急になっていき、スキーにシールを付けた状態では登れなくなってきますので、この辺りでスキーを担いで足元をアイゼンに交換します!!
雪上にアイゼンを蹴り込みながら、雪で埋まった「奥明神沢」の端っこを一歩一歩確実に、そして慎重に登って行きます。この辺りで足を滑らせて滑落したら確実に命はありません!!・・・。
そして、「奥明神沢」の上部はドンドン狭くなっていき、最後は細い岩稜の間ぐらいになっていくのです!! 画像の上部の岩稜を登りきったところがコルになります。この辺りは「足を蹴り込み→ピッケルを差し込む」という作業を延々と繰り返して登って行くのです!・・・。
奥明神沢のコル〜明神岳1峰(10分)
広い岳沢から細い奥明神沢にスキーを担いで入ってから3時間、やっとコルに到着しました〜!!(この画像の僕の頭の左上にある雪が付いている部分)。そこにスキー道具一式をデポ(置き去りにする事)して、最後の岩稜を頂上目指してクライミングしていきます!この辺りでは岩に張り付いた雪が氷のようになっていて、アイゼンの爪がよく効いてくれて登りやすかったですが、切れ落ちている岩の上にいるので高所恐怖症になりそうでした!!
それでも何とか岩を登りきって、もうスグ山頂という所まで来ました!! どうですか!この素晴しい山岳風景は?! 僕の頭の上には「明神岳2~3峰」、その上には雪を纏った「霞沢岳」、その奥には「乗鞍岳」や「御嶽山」まで鮮明に見えます!! 凄まじい程の高度感と美し過ぎる程の雪山で、まるで日本の山ではなくヨーロッパアルプスかカナディアンロッキー山脈のようでした!!
やっと山頂が見えてきました~!! これが残雪期の「明神岳1峰」の山頂です!!
そして、ついに!、登頂成功となりました~!! 上高地に入る釜トンネルからの所要時間は、歩きと休憩を含めて約7時間半程でした。(時刻は午前11時半ぐらい)
僕の後ろには「奥穂高岳(左側)」~「吊尾根」〜「前穂高岳(右側)」が凄まじい迫力で見えていました!!
奥明神沢のコルからスキー滑降~上高地(1時間)
山頂で素晴しい山岳風景をしばらく堪能した後は、登って来た「奥明神沢」をスキーで滑降して帰ります。とにかく狭い超急斜面のルンゼ状の沢なので、コケたら滑落して命がありません!・・・。なので、とても慎重に1ターンずつ確実に刻んで滑りました。
「奥明神沢」から一番狭い沢を抜けてから少し広がった所で、やっと穂高岳連峰をバックに思い通りのターンが決まりました!! とにかくコケないように滑って帰りました・・・。
そして、「岳沢」まで滑って来てもうここまで来ればもう大丈夫となった時、ふと後ろを振り返ってみると・・・、そこには、雲ひとつ無い完璧の青空で、西穂、奥穂、前穂、全ての山々が空とのコントラストで白く光って輝いていました~!!この時もう僕の心は、「明神岳登頂→奥明神沢スキー滑降」を成功させた、とてつもない程の達成感に包まれていました!!
かくして、夢は現実のモノとなった!・・・・。
そして、最高の景色と、最高の滑降が、僕達の心に刻まれた!・・・。
そして、またこの遥か先に続く山々の峰を夢見るのだろう・・・。
(と思います・・・)
【登山者・記事 ハタゴニアン】