乗鞍岳、中洞権現尾根。

所要時間:8時間程  レベル:
山行日: 2024.10.11
3
標高:3026m
乗鞍岳、中洞権現尾根。

乗鞍岳の岐阜県側には、剣ヶ峰山頂から西へと続く「千町登山道」といういにしえの登山道があるのです。昔むかしの修験者の人達が千町尾根を辿って乗鞍岳の大日岳(現在の奥の院)へと登っていた、いにしえの道なのです。その千町尾根には枝尾根がいくつかあり、それぞれがどこかの集落へと続いているのです。今回僕達は、野麦峠側から上がっていく「中洞権現尾根」の登山道を歩いてきてみました。

<アクセス>

松本市内から、国道158号線を西へと車で走っていきます。途中の奈川渡ダムの分岐で、奈川村・野麦峠方面へと左折。そこから主要地方道39号奈川野麦高根線を走り→野麦峠を越えて下って行きます。そしてアイミックスキャンプ場へ向かいます。アイミックスキャンプ場の奥からは未舗装道路となり、300m程行ったところで閉鎖された林道のゲートがあります。その閉まっているゲートの右側に車4~5台程駐車できるスペースがあり、そこに車を止めて、登山スタートとなります。

 

<阿多野川登山口→林道終点。(約1時間半程)>

ここに登山届を提出するポストがありますので、ここで登山届を書いてから、登山スタートです。左側の橋を渡ってその先のゲートを越えて進んでいきます。

この「中洞権現尾根」の登山道は、最近はなかなか登る人も少なくて、整備もあまりされていないようで、廃道状態になっているとか、情報がありました。なので僕達もかなり用心をして装備などを持って入山していきました。

 

林業の関係者以外立ち入り禁止となっています。このゲートを越えてこの先の林道を歩いていきます。

 

しばらくは作業車が通れる程の広い砂利道の林道をサクサクと歩いていきます。車が通れる程の広い林道なので、この辺りは歩きやすかったです。

 

そして、約1時間半ほど歩くと、林道が大きな石で止められている林道の終点に到着しました。ここからは細い登山道になります。登山道の入口はかなり分かりづらいのですが、左の水色の看板のところから階段状に上がっていく道があり、そこから入っていくのです。

 

登山口→森林限界。(2時間半程)

登山道に入ると、いきなり笹薮になります! 最初は九十九折の急登を上がっていき、左へと長いトラバースをしていきました。 笹藪は、足元も登山道が見えなくなっているほど藪が濃いです・・・。それでもほんの少しだけ藪が薄くなって登山道になっているのが、かろうじて分かります。そして少しずつですが木にピンク色の目印のテープが巻かれていたり、木に赤いペンキがつけてあるので、それを目印に辿って進んで行きました。

 

左へのトラバースが終わって尾根上に上がり、少し平坦な「座頭ノ平」という場所にくると、笹薮はさらに濃く深くなっていきました! もう、道無きジャングルのようです! 笹薮は背丈よりも高くて約2mぐらいもあり、足元も見えない程で、僕達の行く手を阻んてきます。それをガサガサ~とかき分けて、ピンクテープや赤ペンキを辿り、足元の僅かなU字になっている登山道を見ながら、少しずつ進んでいきました。 これは、登山の経験とルートファインディング能力が必要だと思いました。

 

約2時間程も笹薮と格闘しながら進んで行き、やっと標高2300m程まで来ると、ようやく笹藪ヤブ地獄は越えられたみたいです。笹薮漕ぎが苦手な僕達は、非常に苦しみました・・・。その後は少しだけシラビソ林の中を通って行くセクションがありました。やっと普通に歩けるようになって、ちょっと安堵したのでした。

 

森林限界手前のトコロは、最後は細い尾根になっていきました。ここまで来てやっと!青空が見えてきました~。いやぁ、今回はここまで本当に長かったですね・・・。ヤブ漕ぎのストレスがMAXだったのでした。
 
それでも、この登山道は、笹薮が刈り払われていれば、とても良いルートだと思いました。だんだんと広がってくる景色、ヴァリエーションに富んでいるルート、植生などは面白かったです。

 

そして、いきなりこの岩場に出たトコロで、一気に森林限界となり、景色が一転、一気に眺望が開けました!
 
この岩場のほんの少し手前まではシラビソの林になっていたのに、本当に不思議なぐらいここから上は線を引いたように背の高い木が1本も生えていなくて、森林限界になっていました。植生というのは本当に面白いモノです。

 

バックには御嶽山が、ドオォ~~ン!と雄大に見えていて素晴らしい眺めでした!。ちょっと感動的でした。「あぁ~、、、抜けて来られて良かった」と思いました。

 

森林限界→中洞権現。(1時間程)

森林限界の岩場で大休止をした僕達は、カロリー補給や水分補給をしてゆっくり休んでから、また進んでいきました。 ここからはまた、ハイマツの海のような真ん中をアミダクジのようにジグザグにうねって続いている登山道をガザガザと登って行くのです。 笹薮はもう無くなりましたが、今度はハイマツの中をまた藪漕ぎのようにかき分けて進んで行くのでした。
 
途中でこの「この先、火口域から1km圏内」という看板がありました。これは、やはり、御嶽山の噴火事故があったから乗鞍岳でも設置したのでしょうか??・・・。

 

ハイマツの海をかき分けて少し登って行くと、ハイマツの海はだんだんと低くなってきて、やっと普通に歩ける登山道になっていきました。途中、登山道が分かりづらい不明慮な場所がたくさんありますが、白い丸印のペンキを探して辿っていく事ができます。
 
この標高まで来ると、バックには御嶽山が一際大きく雄大に聳えて見えていました。この角度からの御嶽山も、なかなか見れない景色だと思います。

 

そして、アイミックスキャンプ場からスタートして約6時間半程で、今回の目的だった「中洞権現」の分岐点に到着する事が出来ました! バックには岐阜県側から見た乗鞍岳が大きく聳えていました。長野県側から見ると剣が峰が尖って見える乗鞍岳ですが、岐阜県側から見ると少し丸い形の山頂の山でした。

 

「千町尾根・登山道」は、乗鞍岳・剣ヶ峰のその先に続いている登山道なのです。この「中洞権現尾根」はその支流の一つなのです。中洞権現にある2体の石仏です。コチラは「十一番」の石仏みたいです。
 
昔むか~し、その昔、乗鞍岳が宗教の信仰の山だった頃のこと・・・。「上牧太郎ノ助」さんと言う人が、明治29年から岐阜県側の旧朝日村青屋地区から~乗鞍岳大日岳まで続く登山道を切り拓いたのです。そして道中の安全祈願のために88箇所に2体ずつ石仏を安置されたようです・・・。それがこの「千町尾根・登山道」なのです! その後、乗鞍畳平への車道が出来て、各方面からの登山道が整備されたので、戦後の近代の時代、この「千町登山道」は廃れていったのでした・・・。しかし現在、この「千町登山道」の廃道化を惜んで旧朝日町の有志の方々で、整備とペンキでのマーキングをされているようなのです。そして未だに見つかっていない石仏も探していらっしゃるようです。

 

中洞権現→乗鞍岳山頂。(約1時間15分程)

「中洞権現」の分岐から→乗鞍岳山頂までは、約1時間ちょっとです。この頃から一気に雲が湧いてきていて、周りの景色がだんだんと白くなってきていました。乗鞍岳山頂までは、あと1km。頑張ります・・・。
 
そして、奥の院の下部をグルッと右から回り込んでいくと、やっと見覚えのある剣ヶ峰の尖った山頂が見えてきました~。あともう少しです。この辺りの登山道はロープが張ってあったり、白いペンキでマーキングしてあるので、とても分かりやすかったです。

 

そして、いつもの乗鞍岳・剣ヶ峰山頂に到着しました。予定通り1時間ちょっとで到着でした。山頂に到着した時は、雲がどんどん湧いてきていて白くなってしまい、景色が見れなかったのが少し残念でした。

松本市でもある乗鞍岳の山頂。何だかとても「帰って来た!」感がありましたね。でも、同じ山なのですが、登っていくルートが違うと、また一味違った面白さがありました。

 

下山。(乗鞍高原方面へ1時間程。シャトルバスに乗り→乗鞍高原へ。)

そして、乗鞍岳山頂を踏んだ僕達は、長野県側へと下って下りていき、乗鞍岳シャトルバスに乗って乗鞍高原へと帰っていき、そこから帰っていきました。 この登山に行った時は、ちょうど紅葉がキレイでした!
 
 
感想
笹薮ヤブがヒドくて、廃道状態だと言われていた中洞権現尾根の登山道。今回僕達は初めて踏破してきましたが、僕達が思っていたよりも笹藪はマシな感じでした。でも、笹藪ヤブのセクションは藪が濃くてヒドかったです。笹薮のところ以外は普通に歩くことが出来ました。 また、この笹薮の状況では確実にルートファインディング能力が問われるルートだと思いました。 このブログを見て行こうと思う人は、十分注意して道迷いの遭難しないようにして行って下さい。よろしくお願いします。

 

「登山日:2024年10月10日。登山者・記者:ハタゴニアン」