波田地区の上波田阿弥陀堂前には、仁王門や田村堂があります。
仁王門には仁王像が納められており、二体とも檜材を用いた寄木造の立像です。像高は阿形(あぎょう 口を開いた形)が256cm、吽形(うんぎょう 口を閉じた形)が260cmで、彩色が施されていましたが、現在は剥落しています。両像の大きさや構造はほぼ同じで、肉取りがみごとで力が充実した像です。特に、忿怒(ふんぬ)相や首筋ともに、体に力の張った姿の動的表現がすぐれています。また、腰下の裳(も)の衣文を軽やかにしており、この像の特色となっています。
昭和49年に県宝に指定され、昭和61年には解体修復が行われています。
昔から、幼児に仁王様の股をくぐらせると、はしかが軽く済み、丈夫に育つと伝えられています。毎年4月には、地元の上波田高齢者クラブの皆さんが中心となって「股くぐり祭」が行われており、親子連れが大勢訪れ賑わいを見せています。
田村堂は、かつて「信濃日光」と称された若澤寺にあった諸堂のうちの一つです。 当初は厨子(ずし)として若澤寺の建物のなかに収められていましたが、江戸時代に新しい厨子が作られると、田村将軍をまつる田村堂として建物の外に置かれるようになりました。江戸時代の絵図「水沢山若澤寺一山之略絵図」にも、境内の最上段に田村堂として描かれています。
しかし、明治初年の廃仏毀釈によって若澤寺は廃寺となり、田村堂は地元住民等によって現在地に移されました。 昭和12年に重要美術品の認定を受け、昭和28年に重要文化財に指定され、昭和40年には解体修理が行われています。
現在、田村堂は、松本市波田地区の上波田阿弥陀堂前に造られた覆屋(おおいや)の中に安置されており、覆屋の入り口ごしに見学できます。
阿弥陀堂の横には、若返り地蔵尊が微笑んでいます。
「若返りの水」を一杯飲み、お地蔵様にお参りしていただきますと、誰もが心身ともに若返り、生きる活力がみなぎると言われています。