INTO THE WILD
版画家 吉田博と吉田遠志 Hiroshi Yoshida & Toshi Yoshida
行動する画家、聳える風景。
観察する画家、跳ねる生命。
山に入り、山を眺め、山を登る。長く山に籠って独自の方法で写生した風景をもとに、
吉田博はその山の時間と存在をうつくしい色彩と階調の世界に落とし込みました。
その吉田博を父に持つ吉田遠志は、10代から父に版画を学び、晩年にはアフリカやインド、
オーストラリアなどをめぐり、鋭い観察眼で動物の生態を捉えた版画作品を残しています。
日本だけではなく海外の山々にも分け入り、滞在しながら山と一体化して風景を捉えた博は、
飽くなき山の美の追求者でした。遠志は山などの自然の風景は描きながらも、後半生は動物を
主な対象とし、生きて活動する生命を丁寧に観察し、生き生きと描いた人でした。
登山は登山者が登っていく事で視界が変化していく動的な行為です。
一方で動物の観察は生きて暮らす動物の姿を静かに待ちながら行う静的な行為です。
今回の展示では、動的と静的という博と遠志の視点の違いを対比的に構成いたします。
吉田博、遠志親子の作品を、空間や音による鑑賞体験としてお楽しみください。
主催:信濃毎日新聞社
共催:株式会社ゴールドウイン
協賛:株式会社 博展