乗鞍 四ッ岳《厳冬期・山スキー》

レベル:
山行日: 2017.02.16
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乗鞍 四ッ岳《厳冬期・山スキー》

今回は、厳冬期に、乗鞍岳23峰の中のひとつである「四ッ岳」へと
岐阜県側の平湯大滝から、スキーを使って登ってきました。

「四ッ岳」は、乗鞍岳の23峰の中の一つで、北側に位置する峰です。
標高は2744mです。 山頂への登山道はありません!ので、夏の間は
立ち入り禁止となっていますので、冬~春の間の雪があるときにしか
登ることは出来ません! なので今回は厳冬期の冬に行って来ました。

 

アクセス

平湯までのアクセスは、西穂高岳のページをご覧下さい。「西穂高岳
バスのアクセスだと、平湯で下車して、平湯キャンプ場まで歩き
で10分です。車でのアクセスだと、安房トンネルを抜けてから、
平湯峠方面の左に曲がってスグが平湯キャンプ場があります。

 

平湯キャンプ場→大滝川渡渉(約1時間)

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平湯キャンプ場にてスキーにシールを貼って登攀用意して、除雪
された雪の上へと登って、そこからスタートします。疎林になって
いる美しいブナの林の中を歩いていきます。雪の上なので夏道は
ありません。なので、現地に入り登山地図などを見ながら自分で
登りやすいところを登っていきます。

 

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約1時間と少しぐらい登ると、尾根が狭くなってきて、平湯大滝上部の
大滝川に沿って進むと川へと下りるようになって、この画像の渡渉箇所
へと着ます。ここで僕たちはスノーブリッジを渡って、平湯大滝の上の
北面台地に上がります。地図だと大滝川がYの字になっている真ん中の
部分になります。

 

大滝川渡渉→岩峰群の森林限界(約3時間)

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北面台地に上がると、そこも雪で覆われた広いブナ林になっています。
ここを延々と雪をラッセルしながら登り上げていくのです。この辺りで
僕たちの時は朝日が上がってきたらしく、やっと明るくなってきました。

 

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どんどんと標高が上がるにつれて、ブナ林の木々にも雪が付着していて、
だんだん真っ白になっていきました。 太陽に光も斜めに入ってきて、
とても美しく幻想的な景色です。しかし僕たちは、この辺りではもう
かなり疲れていて、延々と続く登攀で、景色を楽しむ余裕が無かった
のでした・・・。

 

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ブナ林の中を約2時間以上も延々とラッセルで登ってきて、ようやく
森林限界の上の岩峰群にぶつかりました。ここからはブナ林を抜けて
景色が開けていきます。そして、ここまでは深い新雪の中をラッセル
して登ってきたのですが、ここからは硬い氷のような雪の斜面へと
変わります。

 

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僕たちは、地図を見ながらこの岩峰群を右へ巻いて登っていきました。

 

岩峰群の森林限界→四ッ岳山頂(約1時間)

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岩峰群の右側を進んで行きます。この辺りではもう雪の斜面がガチガチの
硬いアイスバーンになってきたので、ここでスキーのシール登攀を諦めて、
アイゼンをブーツにつけてスキーを担いで、先へと進んで行きました。

 

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岩峰群の中を抜けていくと、地図上では少し東側からこの狭い沢状の所を
左から巻いて山頂を目指して登って行きます。この辺りはアイスバーンで
とても硬い雪にアイゼンが良く利いて今回は登りやすかったです。そして
やっと、岩だらけの山頂が見えてきました!

 

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山頂直下では風も強くなってきましたが、ここまで来るともう行くしか
ありません!山頂までのラストスパートをかけて一気に登っていきました。

 

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そして、平湯キャンプ場をスタートして、約5時間10分ほどで「四ッ岳」の
雪に覆われた山頂へ登頂できました! バックには乗鞍岳主峰の「剣が峰」
が、一際大きく見えていました! このルートでは「乗鞍岳・剣が峰」は、
「四ッ岳」に登頂する最後まで見えないのでした~。

 

四ッ岳山頂からの景色。

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まずは、乗鞍岳主峰「剣が峰」(3026m)です。真ん中少しだけ左に一際
尖っているのが「剣が峰」です。摩利支天岳のコロナ観測所や富士見岳も
しっかり見ることが出来ました。一番下には雪に埋もれた乗鞍スカイライン
の道路が分かります。

 

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北側を見ると、北アルプスの穂高連峰が大きく見えました! 一番右側が
上高地から見える穂高連峰です。扇型の山容はスグにわかります。左側に
尖って見えるのが「笠ヶ岳」(2867m)です。その間は三又蓮華や双六の
辺りだと思います・・・。

 

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西側を見ると、「白山」(2702m)までクッキリと見えていました!
この日は素晴しい快晴の日で、山頂からの景色はとても美しく、いつまで
眺めていても飽きませんでした。

 

四ッ岳山頂からのスキー滑降→平湯(1時間半ほど。)

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帰りは穂高連峰や北アルプス全体をバックに、「四ッ岳」の山頂からスキー滑走を
して帰っていきました。山頂から岩峰群までは硬いアイスバーンでしたが、そこ
から下のブナ林の中では素晴しいパウダースノーのスキーを楽しめました!
そして、四ッ岳山頂から平湯キャンプ場までで約1時間半ほどで帰れました。この
冬山でのスキーの機動力は本当にすごいと思います。

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【注意!】今回の「厳冬期、四ッ岳」は、冬山登攀のアルパインクライミング的なので、
冬山登山に慣れているクライミングギアが取り扱えるエキスパートの方のみが行くことが
出来るルートです。ピッケルとアイゼンを使いこなすスキルが必要ですし、冬山での行動や
マイナス10℃の中での体温管理もたいへんで非常に厳しいです・・・。もし、どうしてもこの
ルートに行きたいと思われる方は、必ず!冬山登山が出来る専門の山岳ガイドさんと一緒に
行って下さい。よろしくお願いします。

 

【注意!②】「四ッ岳」の山頂へは、夏道の登山道はありません!なので夏の間の無雪期
は自然環境保護のために「立ち入り禁止」となっています。「四ッ岳」山頂へは、雪の上
だけを歩いて行ける、厳しくも特別な峰なのです。ご了承下さい。どうしても行きたいと
思われる方は、冬山登山専門のガイドさんと一緒に厳冬期の雪の上を歩いて行って下さい。
よろしくお願いします。

【登山者・記事 ハタゴニアン】