穂高・屏風岩

レベル:
山行日: 2013.09.19
56
穂高・屏風岩

今回は、北アルプスの穂高連峰の真ん中に一際大きく切り立った、国内最大と言われる垂直の岩壁、クライミングのメッカとしても有名な、「屏風岩」でのクライミングを、ご紹介したいと思います。

 

松本からのアクセス方法

槍ヶ岳~槍沢コースのページをご覧ください。→「上高地へのアクセス方法
上高地からは登山道を明神~徳沢~横尾という感じで梓川沿いに歩いて行きます。それぞれの間が約1時間程なので、計3時間で横尾に到着します。横尾山荘にて1泊して、翌日の早朝4:00前の暗いうちから山荘を出発。横尾で橋を渡って一路、涸沢方面へと横尾谷を歩いて行きます。屏風岩の手前で川を一回渡渉して、屏風岩の取り付き目指して登って行きました・・・。

 

屏風岩・雲稜ルート、8ピッチ


横尾から約2時間程で、屏風岩の取り付きに到着しました。今回のルートは「雲稜ルート」と言われているクライミングルートを登りました。この「雲稜ルート」は、この「屏風岩」の初登ルートで、日本のクライミングの歴史を感じられるルートとなっているようです。 ここからクライミングの装備に切り替えて、ハーネスとヘルメット、ロープにカラビナなどを用意して行きます。でも最初の取り付きから2ピッチは、岩場の登山道といった感じで登れました。


歩いて登れる感じの岩場道を2ピッチ登ると、そこからやっと垂直の岩壁のクライミングが始まります! 最初はガイドの方にリードで登ってもらいました・・・。この3ピッチ目はコーナークラックに沿って登ります。横のホールでも比較的しっかりと掴める所が多くて、フリーでも登り易いのでは?と思いました。(一応、5.7のグレードがついてます)

僕のクライミング中です。上から撮影してもらうと、こんな感じです。かなり高い所まで登って来ている感があります。ここから次のピッチは広いフェイスですが、比較的傾斜がないので小さいホールドを探して掴んで登って行くと、意外と登れてしまいました・・・。この上が有名な「扇岩テラス」です。

扇岩テラスの所です。あの垂直の岩場の「屏風岩」の真ん中に普通に休める所があるとは思いませんでした。 ここからの5ピッチ目は人工クライミングのピッチになっていました。「アブミ」と言われるスリングで造られた階段を、岩に打ちこまれているアンカーボルトに掛けながら登って行きます。ですが、ボルトが古くて「抜けてしまわないか?」と不安でした。

何とか人工の1ピッチを登り切ると、こんな小さなテラスに着きます。ここから少し右にトラバースの1ピッチをこなして行きます。この小さいテラスも休憩できるぐらいのスペースがあり、とても楽しかったです。

トラバースの1ピッチの最中です。真ん中少し左にガイドさんの赤いヘルメットが見えます。こんな所を登っていけるんです!  この日は素晴しい雲ひとつない快晴で、バックには大天井岳~常念岳~蝶ヶ岳の稜線が美しく見えていました!!

そこからの最後の2ピッチは、比較的傾斜が緩くなって来て、ホールドの岩も大きくなって掴みやすくなって来たので登り易かったですが、コーナーに泥が詰まっていて草がたくさん生えていたので滑ったりして、最後まで気は抜けないですね。僕はガイドさんが使ったクライミング・ギアを回収しながら登って行きました・・・。

そして、8ピッチの「屏風岩・雲稜ルート」を登り切りました!! この300m以上も垂直に切れあがっている国内最大と言われる「屏風岩」を登り切る事ができて、素晴しい景色も見る事が出来て、ちょっと感動してしまいました!!

帰りは、登ってきた「雲稜ルート」を懸垂下降して降りて行きました。 このまま屏風の頭まで歩いて登って行くルートもあるらしいですが、結構時間がかかるらしく、このまま懸垂下降で降りた方が早いと言うガイドさんの意見に従って、ロープで懸垂下降で帰りました。 足元の遥か下には、横尾谷を流れる川が見えます・・・。どれだけ高い場所にいるのかが良く分かりますね。

懸垂下降中も、普段は見る事が出来ない高度や角度での素晴しい山岳景色が見れて、感動してました。ですが、下を見ると300m遥か下まで何も無く見えてしまうので、高所恐怖症ではなくても思わずゾクゾクしてしまう程でした!!

そして、クライミングの垂直のルートから抜けて帰って来ました。 元来た沢の登山道を下って帰って行く時に振り返ると、そこには今まで登っていた「屏風岩」が、静かに威風堂々と大迫力で聳えていたのでした! この後は、また来た道を横尾~徳沢~明神~上高地と歩いて帰りました。
かくして、またまた今回も!、感動の山岳景色と、例えようも無い達成感と征服感いっぱいで、大成功の「屏風岩・雲稜ルート」のクライミングだったのでした。
夢は、なんと儚くも残酷で、美しいのだろう。
夢は、なんと言う魅力に溢れて、惹かれてしまうのだろう。
僕たちは、それでも夢を追いかて行くしかないのである。
人生とはなんて儚いのだ!と思うのだが、
僅かな限られた時間を駆使して、また次の登山やクライミングを
楽しんで行きたいと思うのだった・・・。

 

登山者の感想と注意。

*今回の「屏風岩・雲稜ルート」は、クライミングの経験者の方のみが登れるルートです。クライミングの装備もたくさん必要です。なので登ってみたい!と思われる方は、必ずクライミング専門の山岳ガイドさんと一緒に行って下さい!!

【登山者・記者:ハタゴニアン】