神戸の三代澤本寿展を見てきました

2013.2.11
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兵庫県神戸市の神戸ファッション美術館で行なわれている「型絵染 三代澤本寿展」に行って来ました。
三代澤本寿(みよさわ もとじゅ)さんは、松本市出身の染色工芸家です。2002年没。
民藝運動と松本の伝統工芸の向上に尽力しました。
2010年に松本市美術館で行なわれた「型絵染 三代澤本寿 生誕101年展」で本寿さんの作品をご覧になった方も、再度神戸ファッション美術館で是非ご覧ください。奥行きのある展示なので本寿さんの表現したことが、ぐっと目の前に迫って新鮮に感じられます。
六甲ライナーに乗ると、「アイランドセンター ファッションマート前」とアナウンスされます。ここで降ります。
南出口の階段を下りると左前方にUFOがくっついたようなビルが見えます。このビルの1階に神戸ファッション美術館があります。


正面のドアから入ると、いきなり本寿さんの作品が並んでいます。
このスペースは、どなたでも無料で見ることができます。太っ腹ですね。


正面のつい立は、写真撮影OKです。(注意:他の作品は写真撮影禁止です。)
「この前で記念撮影していただいて構いません」とのことでした。

森英恵さんのアトリエにある屏風と同じデザインのものです。完成品ではないので、どのような紙なのかよくわかります。結構シワがあるんですね。

ここは3月15日までの展示です。
「美術館入口のロビー(卓布と染紙展示部分)は、3月15日(金)までこちらの展示です。16日よりイランのデザイナー達の作品を紹介する、『生命の樹-ペルシャのデザイン展』へとしつらえが変わります。」とのことです。
受付でチケットを購入。中に入った所にコインロッカーがあります。100円が返却されるタイプのものです。
荷物やコートなどはロッカーに入れて身軽になってご覧いただけます。

この会場はとても面白いですよ。他の美術館に比べると仕切りが少ないので、作品の向こうに別の作品が見えてきます。
屏風が壁に沿って並べられているだけではないので、裏側も良く見えます。
屏風の表、別の作品の屏風の裏、そのまた向こうに別の作品、時々さらに向こうにも作品が見えたりします。
その移り変る様子は、山を歩いて山並の変化を見るような面白さがありました。屏風などは、自分の立っている場所で見え方が変わります。その奥に別の作品が重なって見えるのですが、歩みを進めるとまた違って見えてくるのです。奥の作品にも存在感があり、屏風の裏側にも充分力強さがあるのです。


そして、わずかな隙間から“聖者”が見えた時に、はっとしました。モノクロの聖者なのに、しかも奥に展示されている作品なのに、この隙間からしか見えないのに、力強さがある。(写真にも聖者が写っていますが、写真では表せない力強さです。)
なんて面白いんでしょう!!
奥行きから感じられる強さを意識してみると、茶色自体が持つ強さにもひかれました。
それは、本寿さんが海外旅行から持ち帰った民族的な茶色の服を見たときにさらに強調されて感じ取れました。
この茶色の服には、本寿さんの作品と同じ力強さがあります。

本寿さんが海外で収集したものがいくつも展示されていて、とても楽しかったです。「型絵染 三代澤本寿 生誕101年展」にはなかったと思いますよ。
三代澤本寿展を担当した和田さんが、「三代澤さんの作品だけではなく、海外から収集したものからも三代澤本寿さん自身を感じていただければ」と言っていました。
納得です!!
どっぷりと三代澤本寿ワールドに浸かった後、ファッション美術館の常設展の部屋に入った時にまた何かを感じ取ります。
そこにあるのは、好対照のものでした。
言葉では上手く表せません。
ここで言葉を並べてしまうよりは、みなさんが実際に見て感じ取るほうが発見があり面白いと思います。

<私なりに考えた今回の企画展をより楽しむ方法>
1、まず一点一点を観ます。光にも注意して見ると、積もった雪面のようなキラキラが見られる作品もあります。
2、その次に近くと遠く、その間などを全体的に観ます。
3、そして歩きながら変化していくのを観ます。
たっぷりと楽しんでください。
神戸ファッション美術館オリジナルのグッズも販売されていました。絵はがき、パンフレット、手ぬぐいはオリジナルです。
手ぬぐいは山の名前が入っていません。101年展では山の名前が入っていたものが展示されていました。覚えてますか?
アンケートに感想が書けるようになっていました。ご覧になった方の感想を少し紹介させていただきます。
◎型絵染には圧巻でした。渋いのもあれば、モダンなのもあって・・・
◎『新源氏香』に心を奪われた。三代澤さんが海外から持ち帰られた作品が、なぜこれを持ち帰ったのだろうと思うものがあり面白かったです。
◎たくさんの作品があり良かったです。見ているだけでとても楽しかったです。ギャラリートークにも参加でき、とても勉強になりました。解説を聞かないと分からないことも沢山あったので、また参加したいと思いました。
◎三代澤氏の事は初めて知りましたが、とてもすばらしかったです。「民藝」「旅」「くらし」全て私の大切にしているものでした。
神戸ファッション美術館では、2013年4月2日まで三代澤本寿展をご覧いただけます。詳しくは→ こちら をご覧ください。
他では絶対に見られない立体感のある展示です。本寿さんも見たかったに違いないと思いました。